Titleholder

The Stayer Titleholder

「選手権保持者」という名に懸けて、
彼はただ、前だけを走り続けた。

PROFILE

生誕2018.02.10
調教師栗田徹 (美浦)
主戦騎手横山和生
通算成績19戦7勝 [7-2-1-9]
主な勝鞍 宝塚記念 (G1) ※レコード
天皇賞・春 (G1)
菊花賞 (G1)
日経賞 (G2) 2連覇、弥生賞 (G2)

PEDIGREE

FATHER
ドゥラメンテ
(日本) 2012
キングカメハメハ
アドマイヤグルーヴ
×
MOTHER
メーヴェ
(日本) 2008
Motivator
ツィンクルブライド

父は二冠馬にして名種牡馬、母父は欧州の名門スタミナ血統。 「選手権保持者」の名に相応しく、代々のダービー馬や活躍馬の血を継承。 父譲りの爆発的なスピードと、母系から受け継いだ無尽蔵のスタミナが高次元で融合している。

CAREER RECORD

全レース成績

TOTAL: 19 RUNS 7 - 2 - 1 - 9
DATERACE NAMECOURSE / DIST.JOCKEYRESULT
2023.12.24有馬記念 (G1)中山 / 芝2500m横山和生3rd
2023.11.26ジャパンカップ (G1)東京 / 芝2400m横山和生5th
2023.09.24オールカマー (G2)中山 / 芝2200m横山和生2nd
2023.04.30天皇賞・春 (G1)京都 / 芝3200m横山和生中止
2023.03.25日経賞 (G2)中山 / 芝2500m横山和生1st
2022.12.25有馬記念 (G1)中山 / 芝2500m横山和生9th
2022.10.02凱旋門賞 (G1)ロンシャン / 芝2400m横山和生11th
2022.06.26宝塚記念 (G1)阪神 / 芝2200m横山和生1st
2022.05.01天皇賞・春 (G1)阪神 / 芝3200m横山和生1st
2022.03.26日経賞 (G2)中山 / 芝2500m横山和生1st
2021.12.26有馬記念 (G1)中山 / 芝2500m横山和生5th
2021.10.24菊花賞 (G1)阪神 / 芝3000m横山武史1st
2021.09.20セントライト記念 (G2)中山 / 芝2200m横山武史13th
2021.05.30東京優駿 (G1)東京 / 芝2400m田辺裕信6th
2021.04.18皐月賞 (G1)中山 / 芝2000m田辺裕信2nd
2021.03.07弥生賞 (G2)中山 / 芝2000m横山武史1st
2020.12.26ホープフルS (G1)中山 / 芝2000m戸崎圭太4th
2020.11.23東京スポーツ杯2歳S (G3)東京 / 芝1800m戸崎圭太2nd
2020.10.042歳新馬中山 / 芝1800m戸崎圭太1st
CAREER HIGHLIGHTS

逃亡者の真骨頂

01
Kikuka Sho
2-3
2021.10.24 / 阪神 3000m

THE ESCAPE

第82回 菊花賞

42年ぶりに阪神で開催された淀の長距離決戦。横山武史の手綱に導かれ、迷いなき逃げの手に出た。 1998年のセイウンスカイ以来、23年ぶりとなる逃げ切りV。 父ドゥラメンテに初のG1タイトルを捧げるとともに、その類稀なるスタミナを世界に知らしめた独演会だった。

MARGIN
5 lengths
TIME
3:04.6
02
Tenno Sho Spring
16
2022.05.01 / 阪神 3200m

DYNASTY LEGACY

第165回 天皇賞(春)

主戦・横山和生を背に、7馬身差という圧倒的な力の差を見せつけた。 この勝利により、祖父・富雄、父・典弘、そして和生という天皇賞春・親子三代制覇という歴史的快挙を達成。 心肺機能の暴力とも言える力強い走りは、長距離界の勢力図を完全に塗り替えた。

1着 タイトルホルダー 2着 ディープボンド
03
Takarazuka Kinen
6-11
2022.06.26 / 阪神 2200m

RECORD BREAKER

第63回 宝塚記念

パンサラッサの爆走が作った超ハイペースを番手から力強くねじ伏せた。 直線で先頭に立つと、後続を突き放し、2分9秒7という驚異のレコードタイムを叩き出す。 ファン投票歴代最多票(当時)という熱狂に応え、現役最強の座を不動のものとした。

TIME
2:09.7
VOTES
191,394
04
Arima Kinen
4
2023.12.24 / 中山 2500m

LAST PRIDE

第68回 有馬記念

「これぞタイトルホルダー」という魂の逃げ。引退レースとなったグランプリで、彼は最後の最後まで勇気を振り絞った。 直線、力尽きそうになりながらも3着に粘り抜いたその姿は、勝利以上の感動をファンに与えた。 選手権保持者としての誇りを胸に、美しき逃亡者はターフに別れを告げた。

1着 ドウデュース 3着 タイトルホルダー
DATA ANALYTICS

仁川の
絶対王者

阪神競馬場(仁川)で行われたG1を3勝。その強さを最も象徴するのが2022年の宝塚記念だ。 従来の記録を0.4秒更新する2分9秒7のレコードは、スタミナだけでなく、卓越した持続的スピードの証明。 特に中盤を緩めない「刻む逃げ」は、後続の脚を完全に封じ込める唯一無二の武器であった。

2:09.7

COURSE RECORD

宝塚記念 走破時計

※2022 阪神 2200m

SPEED ENDURANCE

記録された驚異の持続力
PREVIOUS RECORD (2011)2:10.1
ARNESTLY
TITLEHOLDER (2022)2:09.7
NEW RECORD
DISTANCE APTITUDE3000m+
ELITE STAYER
阪神G1 3勝 (歴代最多タイ)
TITLEHOLDER
いつまでもいつまでも、
この馬の名前を忘れないでください。
馬主 山田弘
引退式での涙のメッセージ
和生と一緒に、
最高の結果を残してくれました。
調教師 栗田徹
天皇賞・春 勝利後
FAN VOICES

ファンからの声

H

引退式の「忘れられるわけねぇだろ!」というファンの叫びが全てでした。 勝つ時も負ける時も、常に全力で逃げるその姿に、僕らは夢を乗せていました。

S

宝塚記念の直線、後続を突き放した時の強さは異次元でした。 あのハイペースを自分から作って、そのまま押し切るなんて。仁川の王者は彼しかいません。

M

お姉ちゃんのメロディーレーンと一緒に走る姿が大好きでした。 小さな姉と、力強く逃げる弟。二頭が日本の長距離界を盛り上げた最高の姉弟でした。

BEHIND THE SCENES

不屈の逃亡者エピソード

強靭な肉体と、揺るぎない精神の裏側にあった物語

01

夜間放牧で見せた大物の片鱗

岡田スタッドでの育成時代、彼は1歳の夜間放牧でも疲れた様子を見せず、常に「ケロッとしていた」という。 他の馬が音を上げるような過酷な環境でも動じないその心臓と精神力こそが、 後の3000m超の過酷なレースを逃げ切る驚異のスタミナの源泉となった。 生産者が当時から「これで菊花賞を獲る」と確信したほどの、生まれ持った才能だった。

02

理想的な「スピードスケート尻」

専門家が絶賛した彼の馬体、特に発達したトモ(後肢)は「最高のスピードスケート尻」と称された。 デビュー当初の緩さが鍛錬によって解消され、強固な筋肉へと進化していく過程は、 まさに努力と血統が結実した姿。その発達した筋肉が、最後の直線でも衰えない爆発的な二の脚を生み出していた。

Efforia
THE ARCHRIVAL
DESTINY

EFFORIA

エフフォーリア

2021年クラシック世代。常に彼の前に立ちはだかったのが、横山武史とのコンビで無敗の皐月賞馬となったエフフォーリアだった。 皐月賞での直接対決では3馬身の差をつけられた。 しかし、その悔しさを糧に、タイトルホルダーは長距離という己の領分で覚醒する。

2022年の宝塚記念、ファン投票1位・2位として再び相まみえた時、 レコードで突き抜けたのはタイトルホルダーだった。 互いを認め合う天才二頭の激突は、日本競馬の新たな黄金時代を象徴する風景だった。

2021 皐月賞
2nd タイトルホルダー
vs
1st エフフォーリア

その名は、タイトルホルダー

その名は、タイトルホルダー

「選手権保持者」。その大仰な名に恥じぬ生き様を貫いた。 父ドゥラメンテ、母父モティヴェーター、いずれもダービーを制した高貴なる血を引きながら、 彼が選んだ戦い方は、最も過酷で、最も孤独な「逃げ」という道だった。 一歩でも先へ、一完歩でも遠くへ。後続の影を踏ませぬままゴールを駆け抜けるその姿は、 現代競馬において失われつつあった「ステイヤー」の誇りを取り戻させた。

父の意志、仁川の風に乗りて

父ドゥラメンテが急逝した2021年、その初年度産駒として初めてG1を勝ち取ったのが彼だった。 菊花賞、天皇賞(春)、宝塚記念。特に阪神競馬場で見せたその強さは「仁川の帝王」と呼ぶに相応しく、 直線を向くたびに沸き起こる大歓声は、彼が単なる「速い馬」ではなく、 ファンの心に熱い火を灯す「愛される馬」であったことを物語っている。

不撓不屈、最後まで前へ

凱旋門賞での大敗、天皇賞(春)での競走中止。 挫折と隣り合わせのキャリア終盤にあっても、彼は決して首を垂れることはなかった。 最後の舞台となった有馬記念。全盛期の輝きではないかもしれない。それでも、彼は迷わず先頭に立ち、 若き強豪たちを従えて中山の坂を駆け上がった。 3着に敗れはしたものの、その引き締まった馬体と威風堂々たる走りは、 まさに「選手権保持者」の最後の意地そのものであった。

伝説は次代へ

引退式の日、凍てつく冬の空に響いたオーナーの叫び。「その名は、タイトルホルダー!」。 それに応えたファンの「忘れられるわけねぇだろ!」という怒号にも似た愛。 彼は今、種牡馬として次世代にそのスタミナと根性を伝える日々を送っている。 やがて現れるだろう、彼の血を引く逃亡者がターフを揺らすその時、 私たちは再び思い出すに違いない。 誰よりも美しく、誰よりも力強く、前だけを見つめて駆け抜けた一頭の鹿毛の馬のことを。

「馬に対してはきつい性格だったが、走ることに関しては誰よりも真面目だった」
――岡田牧雄

彼が残した7つの重賞タイトルと、ファン投票の数、そしてレコードタイム。 それらは全て、彼がターフに刻んだ魂の足跡だ。 選手権保持者としての物語は終わったが、彼が私たちに与えた「逃げ切る勇気」は、 これからも競馬というドラマの中で、永遠に輝き続ける。