Panthalassa

The EscapistPanthalassa

「捕まえろ」
世界中が、彼を追った。

PROFILE

生誕2017.03.01
調教師矢作芳人 (栗東)
主戦騎手吉田豊
通算成績27戦7勝 [7-5-0-15]
主な勝鞍サウジカップ (G1)
ドバイターフ (G1)
中山記念 (G2)、福島記念 (G3)
天皇賞・秋 (G1) 2着

PEDIGREE

FATHER
ロードカナロア
(日本) 2008
キングカメハメハ
レディブラッサム
×
MOTHER
ミスペンバリー
(愛国) 2002
Montjeu
Stitches

父は「龍王」の異名を持つ世界最速のスプリンター。母は欧州の至宝モンジューを父に持つスタミナの塊。究極のスピードと尽きることのない持続力。その相反する才能の融合が大逃げの極致を生み出した。

CAREER RECORD

全レース成績

TOTAL: 27 RUNS7 - 5 - 0 - 15
DATERACE NAMECOURSE / DIST.JOCKEYRESULT
2023.11.26ジャパンカップ (G1)東京 / 芝2400m吉田豊12th
2023.03.25ドバイワールドカップ (G1)メイダン / ダ2000m吉田豊10th
2023.02.25サウジカップ (G1)キングアブドゥル / ダ1800m吉田豊1st
2022.12.11香港カップ (G1)シャティン / 芝2000m吉田豊10th
2022.10.30天皇賞・秋 (G1)東京 / 芝2000m吉田豊2nd
2022.08.21札幌記念 (G2)札幌 / 芝2000m吉田豊2nd
2022.03.26ドバイターフ (G1)メイダン / 芝1800m吉田豊1st
2022.02.27中山記念 (G2)中山 / 芝1800m吉田豊1st
2021.11.14福島記念 (G3)福島 / 芝2000m菱田裕二1st
2019.10.122歳未勝利京都 / 芝2000m坂井瑠星1st
CAREER HIGHLIGHTS

逃亡の系譜

01
Fukushima Kinen
4-8
2021.11.14 / 福島 2000m

THE AWAKENING

第57回 福島記念(G3)

重賞初制覇。1000m通過57秒3という殺人的なハイペースで突き進み、4コーナーでも後続を突き放す独走。誰もが失速を予想したが、彼はそのままゴールまで駆け抜けた。この日、唯一無二の「大逃げ」という個性が完成した。

TIME
1:59.2
MARGIN
4.0
02
Dubai Turf
12
2022.03.26 / メイダン 1800m

GLOBAL DRAMA

ドバイターフ(G1)

初の海外G1。並み居る世界の強豪を尻目に、吉田豊騎手の鞭に応えて粘りに粘る。ゴール板では3頭が並んだが、粘り腰が勝りロードノースと1着同着。世界に「Panthalassa」の名を知らしめた衝撃の一戦。

1着 パンサラッサ1着 ロードノース
03
Tenno Sho Autumn
2-3
2022.10.30 / 東京 2000m

ETERNAL MEMORY

第166回 天皇賞(秋)

サイレンススズカと同じ、1000m通過57秒4。直線入り口で後続を15馬身以上突き放す。府中がどよめきから悲鳴、そして歓喜へと変わる。最後はイクイノックスに屈したが、敗れてなお主役と呼ばれた伝説の逃亡劇。

1000m
57.4
RESULT
2nd
04
Saudi Cup
1
2023.02.25 / キングアブドゥル 1800m

WORLD CONQUEROR

サウジカップ(G1)

世界最高賞金を賭けたダート戦。初ダートの不安を蹴散らし、砂の上でも「逃走」。粘り強い二枚腰で強豪カントリーグラマーの猛追を封じ込め、日本馬初の栄冠を掴み取った。世界の頂点に立った歴史的瞬間。

1着 パンサラッサ2着 C.グラマー
DATA ANALYTICS

破滅的な
ハイペース

パンサラッサの最大の特徴は、後続に脚を使わせる異常なラップ。2022年天皇賞(秋)で見せた1000m通過57秒4は、現代競馬の常識を逸脱したスピード。この超絶的なペースこそが、追走するライバルたちのリズムを狂わせ、奇跡の逃げ切りを可能にした唯一無二の武器であった。

57.4s

SPLIT TIME

1000m 通過タイム

※2022 天皇賞(秋)

PACING ANALYSIS

常識を破壊する速度
AVERAGE G1 PACE60.2s
STANDARD
PANTHALASSA PACE57.4s
OVER LIMIT
TIME GAP-2.8s
EXTRAORDINARY
1000m通過比較
PANTHALASSA
この馬のペースは、普通の馬には耐えられない。
まさに世界の逃亡者だ。
調教師 矢作芳人
サウジカップ優勝後
直線に向いた時、前の馬が遥か彼方にいた。
届かないかもしれないと、一瞬思った。
C.ルメール
2022天皇賞(秋)後の述懐
FAN VOICES

ファンからの声

S

あの天皇賞秋。サイレンススズカの夢の続きを見せてもらいました。負けてもこれほど誇らしい馬は他にいません。彼のおかげで、また競馬が好きになりました。

W

サウジカップ、深夜に絶叫しました!芝でもダートでも関係なく逃げる姿は、まさに自由の象徴。日本馬がダートの世界最高峰を勝つなんて夢みたいです。

P

引退式で彼が立ち上がった姿、忘れません。最後まで自分のスタイルを貫き通した。パンサラッサは、記録よりも記憶の中で永遠に逃げ続けています。

BEHIND THE SCENES

秘蔵エピソード

世界を沸かせた稀代の逃亡者、その舞台裏の真実

01

吉田豊騎手との「阿吽の呼吸」

5歳以降、パンサラッサの背中には常に吉田豊騎手がいた。かつて「大逃げ」で鳴らしたサイレンススズカの主戦・武豊騎手と名が同じ「ユタカ」であることも運命を感じさせたが、何より吉田騎手の「馬を信じて行かせる」勇気が、あの誰も真似できないハイラップを支えていた。

02

「パンサラッサの歌」に送られて

引退式では、専用のテーマソングが流れるという異例の演出が行われた。ファンから「ニートの希望」という愛称で呼ばれることもあった彼は、努力と執念で世界を制した。矢作調教師が「僕らがこの馬に勇気を与えてもらった」と語った言葉に、この馬が愛された理由の全てが詰まっている。

Equinox
THE GENIUS RIVAL
DESTINY

EQUINOX

イクイノックス

逃げるパンサラッサと、追うイクイノックス。2022年の天皇賞(秋)は、正反対の個性がぶつかり合った歴史的一戦だった。天才イクイノックスの「異次元の末脚」を引き出したのは、紛れもなくパンサラッサの「破滅的な大逃げ」だった。この二頭が交差した瞬間、日本の競馬は世界の中心へと躍り出た。

2022TENNO SHO (AUTUMN)
1stイクイノックス
vs
2ndパンサラッサ

世界の果てまで、逃げろ

世界の果てまで、逃げろ

競馬に「絶対」はない。しかし、パンサラッサが先頭で1コーナーを回った瞬間、ファンは確信する。「今日は何か、とんでもないことが起きる」と。彼はただの競走馬ではなかった。計算ずくの戦術を超えた、もっと根源的な情熱をターフに刻みつけた、稀代の表現者だったのだ。

「未完」から「独創」へ

デビュー当初の彼は、まだ自分の色を持っていなかった。クラシック戦線では影を潜め、ダートに挑戦しては敗れる。迷いの中で掴み取ったのが、吉田豊騎手と共に歩んだ「大逃げ」という生き様だった。後続にどれほど差をつけられても構わない、自分のリズムで、誰よりも速く駆け抜ける。その潔さが、いつしかファンを、そして世界を虜にしていった。

伝説の天皇賞・秋、その向こう側

2022年10月30日。パンサラッサは、1998年のサイレンススズカがそうであったように、大ケヤキの向こう側で独走した。15馬身、20馬身。直線に向いてもなお、カメラに映るのは彼一頭だけだった。ゴール寸前、天才イクイノックスに差されはしたが、あの瞬間、東京競馬場の熱狂は彼のためにあった。敗北がこれほどまでに美しく、語り継がれる記憶となることを、彼は教えてくれた。

砂の海で掴んだ世界の頂点

しかし、彼は「記憶だけの馬」で終わることを良しとしなかった。2023年、舞台は灼熱のサウジアラビア。世界最高賞金1000万ドルのサウジカップで、彼は再び逃げた。芝の王者が砂の猛者たちを完封する。誰にも真似できない二刀流でのG1制覇は、彼のポテンシャルが「本物」であったことの証明だった。

「パンサラッサには本当に勉強させられました。欲を言えばきりがない、いい引き際だと思います」
――矢作芳人

通算27戦7勝。芝でも砂でも、日本でもドバイでもサウジでも、彼は常に先頭を走り続けた。2024年1月、中山競馬場で4000人のファンに見守られた引退式。退場間際、彼はまるで「まだ走れるぞ」と言わんばかりに力強く立ち上がった。その勇姿は、次代の産駒たちへと受け継がれる。世界の逃亡者が残した伝説は、決して色褪せることはない。