Lys Gracieux

The Unrivaled Lys Gracieux

「遅咲きの大輪」が、
世界をねじ伏せた日。

PROFILE

生誕2014.01.18
調教師矢作芳人 (栗東)
主戦騎手D.レーン / 武豊
通算成績22戦7勝 [7-8-4-3]
主な勝鞍 有馬記念 (G1)
宝塚記念 (G1)
コックスプレート (G1)
エリザベス女王杯 (G1)

PEDIGREE

FATHER
ハーツクライ
(日本) 2001
サンデーサイレンス
アイリッシュダンス
×
MOTHER
リリサイド
(仏) 2007
American Post
Miller's Lily

父はディープインパクトを破ったハーツクライ、母はフランスのリステッド勝馬。 幼少期は食が細く華奢な少女だったが、陣営の献身的な育成により父譲りの成長力が開花。 晩年に完成されたその強さは、日本競馬史に残る「育成の結晶」となった。

CAREER RECORD

全レース成績

TOTAL: 22 RUNS 7 - 8 - 4 - 3
DATERACE NAMECOURSE / DIST.JOCKEYRESULT
2019.12.22有馬記念 (G1)中山 / 芝2500mD.レーン1st
2019.10.26コックスプレート (G1)豪州 / 芝2040mD.レーン1st
2019.06.23宝塚記念 (G1)阪神 / 芝2200mD.レーン1st
2019.04.28QE2世C (G1)香港 / 芝2000mO.マーフィー3rd
2019.03.10金鯱賞 (G2)中京 / 芝2000mA.シュタルケ2nd
2018.12.09香港ヴァーズ (G1)香港 / 芝2400mJ.モレイラ2nd
2018.11.11エリザベス女王杯 (G1)京都 / 芝2200mJ.モレイラ1st
2018.10.13府中牝馬S (G2)東京 / 芝1800mM.デムーロ2nd
2018.06.03安田記念 (G1)東京 / 芝1600m武豊8th
2018.05.13ヴィクトリアマイル (G1)東京 / 芝1600m武豊2nd
2018.04.07阪神牝馬S (G2)阪神 / 芝1600m武豊3rd
2018.02.04東京新聞杯 (G3)東京 / 芝1600m武豊1st
2017.11.12エリザベス女王杯 (G1)京都 / 芝2200m福永祐一8th
2017.10.15秋華賞 (G1)京都 / 芝2000m武豊2nd
2017.09.17ローズS (G2)阪神 / 芝1800m武豊3rd
2017.05.21優駿牝馬 (G1)東京 / 芝2400m武豊5th
2017.04.09桜花賞 (G1)阪神 / 芝1600m武豊2nd
2017.03.04チューリップ賞 (G3)阪神 / 芝1600m武豊3rd
2016.12.11阪神JF (G1)阪神 / 芝1600m戸崎圭太2nd
2016.10.29アルテミスS (G3)東京 / 芝1600m武豊1st
2016.09.102歳未勝利阪神 / 芝1800m中谷雄太1st
2016.08.272歳新馬新潟 / 芝1600m中谷雄太2nd
CAREER HIGHLIGHTS

不屈の証明

01
Takarazuka Kinen
8-12
2019.06.23 / 阪神 2200m

THE AWAKENING

第60回 宝塚記念

ダミアン・レーン騎手との初コンビ。キセキやスワーヴリチャードら強力な牡馬陣を相手に、 彼女は2番手追走から直線で堂々と抜け出した。 上がり3ハロン35秒2の力強い末脚で3馬身差の完勝。 「善戦マン」と呼ばれた過去を葬り去り、最強牝馬への覚醒を告げた一戦。

TIME
2:10.8
MARGIN
3 Lenths
02
Cox Plate
9
2019.10.26 / 豪州 2040m

HISTORY MAKER

コックスプレート

日本馬初の参戦にして、歴史的快挙。 ムーニーバレー競馬場の短い直線を、彼女は大外から一気に捲り上げた。 現地の実況が絶叫するほどの脚色で、世界の強豪を置き去りにする。 日本の牝馬が、オーストラリア最強決定戦を制した瞬間だった。

1st Lys Gracieux 2nd Castelvecchio
03
Arima Kinen
3-6
2019.12.22 / 中山 2500m

THE LEGEND

第64回 有馬記念

アーモンドアイとの初対決、そして引退レース。 直線、彼女は異次元のギアを入れた。 内から外へ持ち出し、上がり最速34秒7の末脚を繰り出すと、サートゥルナーリアを5馬身突き放す圧勝。 鞍上のレーン騎手がゴール前で手綱を緩めるほどの、完璧なフィナーレ。

RATING
126
MARGIN
5 Lenths
DATA ANALYTICS

歴代最強の
レーティング126

引退レースとなった有馬記念。アーモンドアイら歴戦の強豪を相手に5馬身差の圧勝劇を見せたリスグラシュー。 このパフォーマンスに対し、ワールドベストレースホースランキングは126ポンドを与えた。 これは日本牝馬として史上最高の評価であり、名実ともに「世界一」の座を手にしてターフを去った証である。

126 LBS

HISTORIC RATING

牝馬歴代最高評価

※2019 有馬記念

RATING COMPARISON

世界が認めた強さ
PREVIOUS BEST (ALMOND EYE) 124
2018 JAPAN CUP
LYS GRACIEUX (2019) 126
HISTORIC HIGH
DIFFERENCE +2lbs
NEW RECORD
日本牝馬レーティング比較
LYS GRACIEUX
矢作先生から「さらに良くなっているぞ」と聞いて、
自信たっぷりに騎乗しました。
彼女は間違いなく世界クラスの馬です。
主戦騎手 D.レーン
有馬記念勝利騎手インタビューより
もったいないねえ。でも感謝しかありません。
今日は馬がさらに進化してくれて…。
史上まれに見る名牝です。
調教師 矢作芳人
引退レース直後のコメント
FAN VOICES

ファンからの声

S

有馬記念の直線、鳥肌が止まらなかった。 アーモンドアイをちぎっての5馬身差。 「強い」という言葉すら陳腐に感じるほどの、神々しいラストランでした。

Y

引退式での矢作先生の涙にもらい泣きしました。 2着続きで悔しかった時期を知っているからこそ、 最後に世界一の評価を得て引退する姿に、勇気をもらいました。

K

コックスプレート制覇は日本競馬の悲願。 不利な大外枠から捲くって勝つなんて、漫画でも描けないような展開。 日本の牝馬の強さを世界に証明してくれてありがとう。

BEHIND THE SCENES

秘蔵エピソード

最強女王の強さを支えたのは、人馬一体の絆と不屈の精神だった

01

余震の中のトレーニング

2018年9月、北海道胆振東部地震が発生。牧場も停電し余震が続く中、 スタッフは「この馬のリズムを崩してはいけない」と判断した。 野崎場長らが懐中電灯を頼りに準備をし、リスグラシューはただ一頭、坂路に入ったという。 揺れる大地の上で黙々と調教を続けたこの不屈の精神が、後のG1初制覇へと繋がった。

02

「目がギラギラしている」

4歳春、安田記念で大敗を喫した後、陣営は過酷な昼夜放牧を決断した。 並の馬なら音を上げるメニューだが、彼女はケロリとこなした。 久しぶりに坂路に上がってきた彼女を見た野崎場長は、その変化に戦慄したという。 「目がギラギラしている。何かが違う」。 それは、善戦マンだった少女が、怪物へと生まれ変わった瞬間だった。

Almond Eye
THE ARCHRIVAL
DESTINY

ALMOND EYE

アーモンドアイ

早熟の天才にして、日本競馬の至宝アーモンドアイ。 3歳で三冠を制し、ジャパンカップを世界レコードで駆け抜けた絶対女王。 リスグラシューの引退レースとなる有馬記念は、この最強馬との最初で最後の対決となった。

戦前はアーモンドアイが圧倒的な1番人気。 しかし、中山の直線でリスグラシューが見せたのは、女王をも置き去りにする異次元の加速だった。 5馬身差。それは、遅咲きの大輪が、天才を超越した歴史的瞬間だった。

2019 有馬記念
1st リスグラシュー
vs
9th アーモンドアイ

進化を止めなかった名牝

進化を止めなかった名牝

「終わりよければ全てよし」と言うが、これほどまでに完璧なフィナーレを迎えた競走馬が他にいただろうか。 引退レースの有馬記念。2着につけた差は5馬身。 それは単なる勝利ではなく、彼女が辿り着いた「完成」の境地を示すデモンストレーションだった。 リスグラシュー。その名は「優雅な百合」を意味するが、キャリアの終盤に見せた姿は、優雅さを超えた圧倒的な「強者」そのものだった。

善戦マンと呼ばれた日々

彼女の馬生は、最初から順風満帆だったわけではない。 2歳で重賞を勝つなど早熟の片鱗は見せたものの、クラシック戦線では常に「あと一歩」が届かなかった。 桜花賞2着、秋華賞2着。古馬になってもヴィクトリアマイルでハナ差の2着。 「強いけれど勝てない馬」。周囲からはそんなレッテルを貼られ、シルバーコレクターとして認知されつつあった。 しかし、陣営は諦めなかった。矢作調教師をはじめとするチームは、彼女の中に眠る「怪物の種」を信じ続けた。

覚醒の夏、そして世界へ

転機は4歳の夏。安田記念での惨敗を機に行われた、常識外れのハードトレーニング。 これが彼女の肉体と精神を劇的に変えた。 エリザベス女王杯でのG1初制覇は、もはや「善戦マン」の走りではなかった。 そして5歳、彼女は完全に覚醒する。 宝塚記念での圧勝劇、さらにオーストラリア最強決定戦コックスプレートでの歴史的快挙。 不利な大外枠、短い直線、異国の芝。全ての悪条件をねじ伏せて先頭で駆け抜けた時、世界は日本の牝馬の強さに震えた。

伝説になった日

迎えたラストラン、有馬記念。 相手は現役最強と言われたアーモンドアイをはじめとするG1馬たち。 しかし、レースはリスグラシューの独壇場となった。 直線、レーン騎手が合図を送ると、まるで他の馬が止まっているかのように加速していく。 中山の坂を駆け上がり、セーフティリードを保ったままゴール板へ。 ファンも、関係者も、そしてライバルたちさえも認めざるを得ない完全勝利。

「彼女は、私の想像を遥かに超えて進化していた」
――矢作芳人調教師

通算22戦7勝。決して高い勝率ではないかもしれない。 しかし、最後の3戦で見せた輝きは、競馬史において唯一無二のものである。 試練を乗り越え、成長し、最後に頂点へと登り詰める。 そのドラマチックな馬生は、私たちに「諦めずに進化し続けること」の尊さを教えてくれた。 リスグラシュー。世界を制した不屈の百合は、伝説となって永遠に語り継がれる。