レモンポップ:砂の王者の軌跡
Lemon Pop

The EmperorLemon Pop

国内、無敗。その脚に、
砂は舞わない。

PROFILE

生誕2018.02.15
調教師田中博康 (美浦)
主戦騎手坂井瑠星 / 戸崎圭太
通算成績18戦13勝 [13-3-0-2]
主な勝鞍チャンピオンズカップ (G1) 2連覇
フェブラリーステークス (G1)
マイルCS南部杯 (Jpn1) 2連覇
さきたま杯 (Jpn1)

PEDIGREE

FATHER
Lemon Drop Kid
(USA) 1996
Kingmambo
Charming Lassie
×
MOTHER
Unreachable
(USA) 2009
Giant's Causeway
Harpia

父は米二冠馬を破ったベルモントS覇者、母の父は「アイアンホース」の異名を持つ世界的名馬。米国のスピードと底力が凝縮された配合により、日本の砂を高速で駆け抜ける比類なき加速力が育まれた。

CAREER RECORD

全レース成績

TOTAL: 18 RUNS13 - 3 - 0 - 2
DATERACE NAMECOURSE / DIST.JOCKEYRESULT
2024.12.01チャンピオンズカップ (G1)中京 / ダ1800m坂井瑠星1st
2024.10.14マイルCS南部杯 (Jpn1)盛岡 / ダ1600m坂井瑠星1st
2024.06.19さきたま杯 (Jpn1)浦和 / ダ1400m坂井瑠星1st
2024.02.24サウジカップ (G1)キングアブドゥル / ダ1800m坂井瑠星12th
2023.12.03チャンピオンズカップ (G1)中京 / ダ1800m坂井瑠星1st
2023.10.09マイルCS南部杯 (Jpn1)盛岡 / ダ1600m坂井瑠星1st
2023.03.25ドバイゴールデンシャヒーン (G1)メイダン / ダ1200m坂井瑠星10th
2023.02.19フェブラリーステークス (G1)東京 / ダ1600m坂井瑠星1st
2023.01.29根岸ステークス (G3)東京 / ダ1400m戸崎圭太1st
2022.11.12武蔵野ステークス (G3)東京 / ダ1600m戸崎圭太2nd
2022.10.30ペルセウスステークス (OP)東京 / ダ1400m戸崎圭太1st
2022.05.28欅ステークス (OP)東京 / ダ1400m戸崎圭太1st
2022.04.24鎌倉ステークス (3勝)東京 / ダ1400m戸崎圭太1st
2022.01.304歳以上2勝クラス東京 / ダ1400m戸崎圭太1st
2022.01.054歳以上2勝クラス中京 / ダ1400mC.デムーロ2nd
2021.12.12夙川特別 (2勝)阪神 / ダ1400mC.デムーロ2nd
2020.11.28カトレアステークス (OP)東京 / ダ1600m戸崎圭太1st
2020.11.072歳新馬東京 / ダ1300m戸崎圭太1st
CAREER HIGHLIGHTS

砂王の証明

01
MCS Nambu Hai
2-3
2023.10.09 / 盛岡 1600m

THE OVERWHELMING

第36回 マイルCS南部杯

岩手の地で刻まれた、日本競馬史に残る衝撃。スタートから先頭を奪うと、直線では後続を突き放す一方。2着に付けた着差はなんと2.0秒、距離にして「大差」。地方・中央の壁を嘲笑うかのような圧巻のパフォーマンスは、レモンポップ時代の幕開けを強烈に告げるものだった。

MARGIN
2.0s
STATUS
LEGENDARY
02
Champions Cup
2
2024.12.01 / 中京 1800m

PERFECT FINALE

第25回 チャンピオンズカップ

「国内負けなし」の誇りを胸に挑んだ、引退レース。大外枠を克服し果敢にハナを叩くと、直線では宿敵ウィルソンテソーロの猛追をハナ差で凌ぎ切る。執念が生んだ劇的な勝利。全盛期のままターフを去るその姿は、まさに時代を統べた王者にふさわしい、最高純度の有終の美であった。

1着 レモンポップ2着 ウィルソンテソーロ
03
February Stakes
4-7
2023.02.19 / 東京 1600m

THE FIRST GI

第40回 フェブラリーステークス

中2週、初のマイルGI挑戦。懸念された距離の壁を、彼は圧倒的なスピードで粉砕した。直線半ばで先頭に躍り出ると、後続の追撃を悠々と振り切り、坂井瑠星騎手とのコンビで初の頂点へ。短距離王からダート界の主役へと、自らの価値を証明したマイル戦だった。

TIME
1:35.6
JOCKEY
R.SAKAI
DATA ANALYTICS

三つの距離を
完全統治

レモンポップの真の凄みは、ダートにおける「1400m」「1600m」「1800m」という異なる三つのカテゴリーでGI級勝利を挙げた汎用性にある。特に日本国内では、デビューから引退まで全13戦で一度も連対を外さないという驚異的な安定感を誇った。スピードとスタミナ、そして精神力が極限まで融合した稀有な名馬である。

100%

DOMESTIC QUINELLA

国内連対率

※国内全13戦13勝2着内

DISTANCE VERSATILITY

全距離対応の証明
1400M (SAKITAMA HAI)WIN
SPEED MASTER
1600M (FEBRUARY S)WIN
MILE EMPEROR
1800M (CHAMPIONS C)WIN
STAMINA KING
GI級制覇距離
LEMON POP
おそらく人生でもう一度、
このような馬に出会うことはない。
調教師 田中博康
退厩時のインタビューより
イメージ通りすごく乗りやすい。
本当に賢くて良い馬です。
主戦騎手 坂井瑠星
GI制覇後のコメント
FAN VOICES

ファンからの声

S

南部杯の大差勝ちから、引退レースのハナ差勝ちまで。レモンポップはいつも私たちに「強さ」の意味を教えてくれました。国内負けなしのまま引退なんて、かっこよすぎます。

Y

「レモンポップ」っていう可愛い名前からは想像もつかないような力強い走り。フェブラリーSで坂井騎手と決めた時のあの興奮は一生忘れられません。砂の王者は彼しかいない!

A

田中調教師が最後にお尻に抱きついている写真を見て涙が出ました。スタッフ皆に愛されているのが伝わってくる名馬。第二の馬生も健やかに過ごしてほしいです。

BEHIND THE SCENES

秘蔵エピソード

王者として君臨した彼が、厩舎で見せていた素顔

01

愛された「トレードマーク」

レモンポップには、関係者だけが知る特別な儀式があった。その立派で丸々としたお尻は、田中博康調教師やスタッフにとっての「癒やし」。退厩時には田中調教師がそのお尻に頬を寄せて別れを惜しむ姿が話題となった。「非常にエコで賢い」と評された彼だが、その実、厩舎では誰にでも心を開く優しさを持っていた。

02

驚きの「草食系男子」

レースでは他を寄せ付けない迫力を見せるが、普段の性格は「まるで草食系男子」。従順で利口、人とコミュニケーションを取るのが大好きな「しっかり者」だったという。オンとオフの切り替えが天才的にうまく、無駄な体力を使わない。この賢さこそが、過酷なダート戦線を長きにわたりトップで走り続けられた最大の武器だった。

Wilson Tesoro
THE ARCHRIVAL
DESTINY

WILSON TESORO

ウィルソンテソーロ

王者が最後に戦わなければならなかった壁、それがウィルソンテソーロだった。2023年、2024年と、チャンピオンズカップで二度にわたり彼の前に立ちはだかった宿敵。

特に引退レースとなった2024年、直線で猛然と追い上げるウィルソンテソーロの脚色は、王者の牙城を崩すかに見えた。しかし、レモンポップはそれを「ハナ差」で凌ぎ切る。ライバルがいたからこそ、レモンポップの輝きはより一層、黄金色に輝いたのである。

2024CHAMPIONS CUP
1stレモンポップ
vs
2ndウィルソンテソーロ

砂を愛した黄金の王

砂を愛した黄金の王

アメリカからやってきた一頭の栗毛。その名は、日本の爽やかな飲み物に由来する「レモンポップ」。しかし、その爽快な名前に反して、彼が刻んだ足跡はあまりにも力強く、重厚だった。日本のダート界において、これほどまでに「負けない姿」を印象づけた馬が他にいただろうか。

不屈の歩みと、田中厩舎の絆

田中博康調教師が初めて彼を見た時、その完璧な筋肉の鎧に「特別」を感じたという。デビューから連勝街道を歩むも、途中で足踏みした時期もあった。しかし、陣営は彼の資質を信じ抜き、丁寧に、大切に育て上げた。特に、レース以外では「エコ」に徹し、走る時だけ猛獣へと変貌する彼の賢さは、田中調教師との深い信頼関係があったからこそ花開いたものだ。退厩の日に見せた調教師の涙は、単なる管理馬への愛を超えた、戦友への心からの敬意だった。

大差、そしてハナ差の美学

レモンポップを語る上で欠かせないのが、2023年南部杯で見せた「大差」の逃げ切りだ。後続を2秒も引き離すという、地方競馬の歴史を塗り替えるパフォーマンス。そして、2024年チャンピオンズカップで見せた「ハナ差」の死守。圧倒的な力の誇示から、執念の粘りまで、彼は王者に必要な全ての形をファンに見せつけた。国内で走る限り、誰にも先頭を譲らない。その美学を、彼は最後の最後まで、一歩も引くことなく貫き通したのである。

受け継がれる「黄金の飛沫」

通算18戦13勝。GI級6勝。国内連対率100%。並べられた数字以上に、彼の走りはファンの心を震わせた。引退式で冬の空の下、誇らしげに立っていた彼の姿は、もう「レモンポップ」という爽やかな名前ではなく、砂を支配した「皇帝」の風格そのものだった。今、彼は北海道の地で次世代へとその血を繋ぐ役割を担っている。いつかまた、黄金の砂を蹴立てて加速する彼にそっくりの産駒が、私たちの前に現れる日を信じて。砂の王者の物語は、ここからまた新章へと続いていく。

「レモンポップは、私の人生で二度と巡り合えないような素晴らしい馬です」
――田中博康

砂が舞い、熱狂が渦巻く直線の先に、いつも彼の背中があった。日本競馬が誇る最強のダートキング。その名は、永遠に色褪せることのない黄金の記録として、私たちの記憶に刻まれ続けるだろう。