キラーアビリティ:北の空に輝いた青鹿毛の閃光
Killer Ability

The Killer Killer Ability

その末脚は、
未来を切り裂くナイフだった。

PROFILE

生誕2019.01.27
調教師斉藤崇史 (栗東)
主戦騎手横山武史 / 団野大成
通算成績21戦3勝 [3-2-0-16]
主な勝鞍 ホープフルステークス (G1)
中日新聞杯 (G3)
ネオムターフカップ (G2) 2着

PEDIGREE

FATHER
ディープインパクト
(日本) 2002
サンデーサイレンス
ウインドインハーヘア
×
MOTHER
キラーグレイシス
(米国) 2009
Congaree
Heather's Halo

父は日本競馬の結晶、母は米国の重賞馬。不世出の英雄の晩年に送り出された最高傑作の一頭。強靭な筋肉と、時に牙を剥くほどの気性の激しさが、極限の瞬発力へと昇華された。

CAREER RECORD

全レース成績

TOTAL: 21 RUNS 3 - 2 - 0 - 16
DATERACE NAMECOURSE / DIST.JOCKEYRESULT
2025.02.22ネオムターフC (G2)キングアブドゥル / 芝2100O.マーフィー10th
2024.11.15バーレーンインターナショナルT (G2)サヒール / 芝2000O.マーフィー8th
2024.09.22オールカマー (G2)中山 / 芝2200団野大成10th
2024.03.31大阪杯 (G1)阪神 / 芝2000北村友一15th
2024.02.24ネオムターフC (G2)キングアブドゥル / 芝2100C.デムーロ2nd
2023.12.09中日新聞杯 (G3)中京 / 芝2000B.ムルザバエフ4th
2023.10.21富士S (G2)東京 / 芝1600横山武史12th
2023.05.07新潟大賞典 (G3)新潟 / 芝2000北村友一5th
2023.04.02大阪杯 (G1)阪神 / 芝2000団野大成13th
2023.02.12京都記念 (G2)阪神 / 芝2200B.ムルザバエフ5th
2022.12.10中日新聞杯 (G3)中京 / 芝2000団野大成1st
2022.11.06アルゼンチン共和国杯 (G2)東京 / 芝2500C.デムーロ8th
2022.05.29日本ダービー (G1)東京 / 芝2400横山武史6th
2022.04.17皐月賞 (G1)中山 / 芝2000横山武史13th
2021.12.28ホープフルS (G1)中山 / 芝2000横山武史1st
2021.10.30萩S (L)阪神 / 芝1800岩田望来2nd
2021.08.282歳未勝利小倉 / 芝2000岩田望来1st
2021.06.272歳新馬阪神 / 芝1800C.ルメール5th
CAREER HIGHLIGHTS

能力の解放

01
Hopeful Stakes
3-5
2021.12.28 / 中山 2000m

THE RECORD

第38回 ホープフルステークス

未勝利戦で見せた驚異の上り33.2秒。その潜在能力がG1の舞台で爆発した。横山武史騎手を背に、好位から力強く抜け出す完勝。2分0秒6という時計は、G1昇格後のレースレコード。英雄の血が中山の坂で咆哮した。

TIME
2:00.6
L-3F
35.8
02
2-Year-Old Maiden
8
2021.08.28 / 小倉 2000m

RAW INSTINCT

2歳未勝利

衝撃の「10.8秒」。道中後方で牙を研いでいた青鹿毛の体躯が、直線で爆発した。ラスト3ハロンで加速し続け、最後の一完歩で刻んだ驚異のラップタイム。ディープインパクト産駒の真髄、その瞬発力の片鱗を日本中に知らしめた圧巻の7馬身差。

1着 キラーアビリティ 2着 パーソナルハイ
03
Chunnichi Shinbun Hai
1-1
2022.12.10 / 中京 2000m

THE RESURGENCE

第58回 中日新聞杯

クラシックでの挫折を超え、再び輝きを取り戻した冬の陣。団野大成騎手との新コンビは、クロス鼻革でその激しい気性を制御。直線、狭い馬間を割って突き抜ける勝負根性を見せ、古馬の壁を力でねじ伏せた。復活の雄叫びは、中京のターフに響き渡った。

TIME
1:59.4
WEIGHT
470kg
04
Neom Turf Cup
2
2024.02.24 / メイダン 2100m

GLOBAL SPIRIT

ネオムターフカップ (G2)

砂塵舞うサウジアラビアの地で、世界を驚かせた。C.デムーロを背に、世界の強豪相手に一歩も引かぬ競馬を展開。勝ち馬には僅かに届かなかったものの、日本の「キラー」が健在であることを世界に示した。国境を越え、その能力は新たなステージへ。

2着 キラーアビリティ 1着 スピリットダンサー
DATA ANALYTICS

最速の
G1レコード

2021年のホープフルS。彼は従来の時計を大きく塗り替える2分0秒6で駆け抜けた。これはG1昇格後の最速時計であり、冬の中山という重い芝条件下で叩き出した異例の高速ラップである。彼の真価は、単なる勝利ではなく、数字が証明する絶対的な「速さ」にこそ宿っていた。

2:00.6

COURSE RECORD

Hopeful Stakes (G1)

※G1昇格後最速タイム

G1 TIME COMPARISON

中山芝2000mの衝撃
AVERAGE WINNING TIME 2:01.8
STNDRD ZONE
KILLER ABILITY (2021) 2:00.6
RECORD BREAK
FINAL FURLONG (Maiden) 10.8s
SUPER SPRINT
瞬発力指数
KILLER
まだまだ子供。オンとオフの切り替えが
できれば、もっと勝てるようになる。
主戦騎手 横山武史
ホープフルS勝利後コメント
この血が受け継がれていくことを、
管理させていただいた身として誇りに思う。
調教師 斉藤崇史
引退発表時の会見より
FAN VOICES

ファンからの声

P

ディープインパクトのラストクロップでG1を勝ってくれた。あの瞬間の感動は忘れられません。気性の荒さも魅力でした。

C

インドで種牡馬入りと聞いて驚きましたが、彼らしい型破りな道だと思います。新しい地で「キラー」の血を繋いでほしい。

S

サウジで見せた2着。全盛期の輝きを異国の地で見せてくれた。どんな環境でも自分の走りを貫く強さに鳥肌が立った。

BEHIND THE SCENES

秘蔵エピソード

その荒ぶる魂の裏に隠された、情熱と絆の物語

01

横山武史の執念

ホープフルSの前、横山騎手は2週連続で栗東へ通い詰めた。自ら調教に跨り、キラーアビリティの繊細な気性を肌で感じるためだ。「この馬は走る」という直感。その献身的な準備が、本番での絶妙な折り合いとレコード勝利という最高の結末を導き出した。

02

インドへの架け橋

引退後、彼が選んだのはインドでの種牡馬入り。日本競馬の至宝ディープインパクトの血が、国境を越えてアジアの新たなフロンティアへ。蹄の音が、歴史というキャンバスに新しい線を引く。ファンはこれを「蹄の音が国境を越えるロマン」と称え、その門出を祝した。

Danon Scorpion
THE ARCHRIVAL
DESTINY

DANON SCORPION

ダノンスコーピオン

同世代、同じ2021年6月にデビューした宿命の二人。萩ステークスでのクビ差の接戦が、二頭の人生を大きく分けた。

マイルの王道へと進み、NHKマイルCを制した蠍(スコーピオン)。対して中距離の頂を目指し、ホープフルSでレコードを刻んだキラーアビリティ。歩む道は違えど、常に世代の最前線を走り続けた。

2025年2月22日、期せずして同じ日に引退と次走を迎えた二人。交差したあの日々は、色褪せることのない青春の記録として刻まれている。

2021 萩ステークス
2nd キラーアビリティ
vs
1st ダノンスコーピオン

静かなる殺し屋の叙事詩

静かなる殺し屋の叙事詩

「キラーアビリティ」。その名の通り、彼は勝利のために全てを切り裂くような鋭さを備えていた。ディープインパクトという偉大な父が残した最後の希望。青鹿毛の馬体は、冬の陽光を跳ね返し、誰よりも速く中山の直線を突き抜けた。あの日見た2分0秒6という数字は、単なるタイムではない。彼が持っていた「異能」の証明だった。

荒ぶる魂と、天才の苦悩

しかし、その鋭すぎる才能は、時として彼自身を追い詰めた。前へ前へと急ぐ気性、折り合いへの葛藤。皐月賞での出遅れ、ダービーでの敗北。周囲の期待が重圧へと変わる中、彼は静かに耐えていた。それは未完成な天才が、自らの魂と折り合いをつけるための長い旅路だった。

中京の再起、そしてサウジの砂塵

中日新聞杯で見せた、馬群の狭間を縫うような走り。それはかつての王者が、牙を研ぎ直した瞬間だった。さらには海を越え、サウジアラビアの地へ。未知の環境、未知のライバル。それでも彼は、日本のディープインパクト産駒としての矜持を見せ、世界の強豪と互角に渡り合った。その姿は、多くのファンの心を再び熱くさせた。

インドへ繋ぐ、最後の閃光

2025年、彼は日本での競争生活に別れを告げた。選んだのはインドという新天地。ディープインパクトの血は、彼という翼を得て、まだ見ぬアジアの草原へと飛んでいく。日本で刻んだレコード、気性の激しさに秘めた情熱、そして世界に見せた不屈の精神。それら全てを携えて、彼は第二の人生へと踏み出した。

「彼の走りは、まるで冷徹なナイフが夜を切り裂くようだった。その切れ味は、次の世代へと受け継がれるだろう」

私たちはいつか、インドの地から届く新たな「キラー」の報せを聞くことになるだろう。その時、中山の坂を誰よりも速く駆け上がったあの青鹿毛の姿を、昨日のことのように思い出すに違いない。キラーアビリティ。君の走りは、私たちの心に永遠に深く、鋭く刻まれている。