「ジャスタウェイ」。その名の由来は、人気アニメに登場する「意味のない爆弾」だという。 一見ふざけたような名前を与えられたこの馬が、まさか世界一の座に上り詰めるとは、デビュー当時誰が想像しただろうか。 父はハーツクライ。無敵のディープインパクトに土をつけた名馬だが、その産駒である彼は、セレクトセールで1260万円という評価に留まっていた。
善戦マンからの脱却
デビュー後の彼は、確かに素質を見せてはいた。 しかし、大一番ではあと一歩届かない。 クラシック戦線でも、古馬になってからも、2着や惜敗が続いた。 「良い馬だけど、勝ちきれない」。そんな評価が定着しつつあった。 しかし、陣営は諦めなかった。ハーツクライの成長曲線を信じ、彼の本格化を待ち続けた。 そして迎えた2013年の秋。彼の才能は、突如として臨界点を突破する。
世界を震撼させた衝撃
天皇賞・秋での4馬身差圧勝。それは序章に過ぎなかった。 翌春のドバイデューティーフリー。砂漠の夜空の下、彼は日本競馬史に残る伝説の走りを見せる。 従来のレコードを2秒以上更新し、後続を遥か後方に置き去りにする6馬身差の独走劇。 海外の実況が絶叫し、現地のホースマンたちが言葉を失った。 レーティング130ポンド。世界ランキング単独1位。 それは「日本馬も世界で通用する」というレベルを超え、「日本馬こそが世界最強である」と知らしめた瞬間だった。
「ハーツクライの無念」を晴らして
馬主の大和屋氏は言った。「ハーツクライの無念を晴らしたい」と。 かつて父がキングジョージで敗れ、世界一にあと一歩届かなかった夢。 その夢を、息子であるジャスタウェイは完璧な形で叶えてみせた。 安田記念では、極悪馬場を泥だらけになりながら執念で差し切り、精神力の強さまでも証明した。 優等生で、賢くて、そして誰よりも速かった馬。
「Just a Way(その道)」
彼がひたむきに走り続けたその道は、やがて世界の頂点へと続いていた。
引退後も、彼の血は次代へと受け継がれている。 セレクトセールの安値から世界一へ。その漫画のようなサクセスストーリーは、これからも多くのホースマンに夢を与え続けるだろう。 記録にも、記憶にも、そしてファンの笑顔の中にも残る、唯一無二の名馬ジャスタウェイ。 その蹄跡は、永遠に輝き続ける。



