Heart's Cry

The Giant KillerHeart's Cry

「英雄」を超えた、
魂の叫び。

PROFILE

生誕2001.04.15
調教師橋口弘次郎 (栗東)
主戦騎手C.ルメール
通算成績19戦5勝 [5-4-3-7]
主な勝鞍有馬記念 (G1)
ドバイシーマクラシック (G1)
京都新聞杯 (G2)
若葉ステークス (OP)

PEDIGREE

FATHER
サンデーサイレンス
(米国) 1986
Halo
Wishing Well
×
MOTHER
アイリッシュダンス
(日本) 1990
トニービン
ビューパーダンス

父は日本競馬を変えた大種牡馬、母の父は凱旋門賞馬トニービン。父譲りの絶対的なスピードに、母系の欧州的なスタミナと成長力が融合。古馬になってから本格化し、世界を制圧する「遅咲きの怪物」が誕生した。

CAREER RECORD

全レース成績

TOTAL: 19 RUNS5 - 4 - 3 - 7
DATERACE NAMECOURSE / DIST.JOCKEYRESULT
2006.11.26ジャパンカップ (G1)東京 / 芝2400mC.ルメール10th
2006.07.29KGVI & QES (G1)英アスコット / 芝2400mC.ルメール3rd
2006.03.25ドバイシーマC (G1)メイダン / 芝2400mC.ルメール1st
2005.12.25有馬記念 (G1)中山 / 芝2500mC.ルメール1st
2005.11.27ジャパンカップ (G1)東京 / 芝2400mC.ルメール2nd
2005.10.30天皇賞・秋 (G1)東京 / 芝2000mC.ルメール6th
2005.06.26宝塚記念 (G1)阪神 / 芝2200m横山典弘2nd
2005.05.01天皇賞・春 (G1)京都 / 芝3200m横山典弘5th
2005.04.03産経大阪杯 (G2)阪神 / 芝2000m横山典弘2nd
2004.12.26有馬記念 (G1)中山 / 芝2500m横山典弘9th
2004.11.28ジャパンカップ (G1)東京 / 芝2400m武豊10th
2004.10.24菊花賞 (G1)京都 / 芝3000m武豊7th
2004.09.26神戸新聞杯 (G2)阪神 / 芝2000m武豊3rd
2004.05.30日本ダービー (G1)東京 / 芝2400m横山典弘2nd
2004.05.08京都新聞杯 (G2)京都 / 芝2200m安藤勝己1st
2004.04.18皐月賞 (G1)中山 / 芝2000m安藤勝己14th
2004.03.20若葉ステークス (OP)阪神 / 芝2000m安藤勝己1st
2004.02.15きさらぎ賞 (G3)京都 / 芝1800m幸英明3rd
2004.01.053歳新馬京都 / 芝2000m武豊1st
CAREER HIGHLIGHTS

覚醒の軌跡

01
Japan Cup 2005
7-14
2005.11.27 / 東京 2400m

PHANTOM RECORD

第25回 ジャパンカップ

世界レコード級の激流となった一戦。彼は後方から猛然と追い込み、当時の日本レコードを0.1秒更新するタイムで駆け抜けた。 しかし、写真判定の結果はハナ差の2着。 レコードで走っても勝てない不運。だが、この極限の走りが、次走での「戦法転換」への布石となる。

TIME
2:22.1
LAST 3F
34.4
02
Arima Kinen 2005
4-10
2005.12.25 / 中山 2500m

THE GIANT KILLING

第50回 有馬記念

単勝1.3倍、無敗の三冠馬ディープインパクト。 誰もがその勝利を信じた日、ルメール騎手は「先行策」という奇襲に出た。 先に抜け出し、迫りくる英雄を半馬身封じ込める。 悲鳴が歓声に変わった瞬間、最強神話は崩れ去り、新たな王者が誕生した。

1着 ハーツクライ 2着 ディープインパクト
03
Dubai Sheema Classic
8
2006.03.25 / メイダン 2400m

WORLD DOMINATION

ドバイシーマクラシック

有馬記念の勝利がフロックではないことを、世界の大舞台で証明してみせた。 逃げるように先頭に立つと、直線では持ったままで後続を突き放す独走劇。 鞭を使うことなく4馬身差の圧勝。 「心臓が叫ぶ」その名の通り、世界中にその強さを轟かせた夜。

TIME
2:31.9
MARGIN
4 Len
DATA ANALYTICS

幻の
日本レコード

2005年のジャパンカップ。勝ったアルカセットと共に叩き出したタイムは2分22秒1。 これは1989年にホーリックスが出した伝説のレコードを0.1秒更新するものだった。 勝利こそ逃したが、この驚異的なスピード能力があったからこそ、有馬記念での先行策でも最後まで脚色が鈍らなかったのだ。 スピードとスタミナ、相反する要素を高次元で兼ね備えていた証明である。

2:22.1

JAPAN RECORD

2400m 走破時計

※2005 ジャパンカップ当時

RECORD BREAKING

限界を超えた日
OLD RECORD (1989) 2:22.2
HORLICK'S
HEART'S CRY (2005) 2:22.1
NEW RECORD TIME
MARGIN Head
2nd PLACE
勝者と同タイム
HEART'S CRY
ディープインパクトは強かった。
だからこそ、彼より前にいなければ勝てなかった。
主戦騎手 C.ルメール
有馬記念勝利インタビュー
放牧から帰ってくるたび、
別の馬になったかのように強くなっていた。
調教師 橋口弘次郎
回顧録より
FAN VOICES

ファンからの声

K

あの日の中山競馬場、ゴールの瞬間の静寂と、その後のどよめきは一生忘れられない。 「まさか」と「やった」が交錯する、競馬の恐ろしさと面白さを教えてくれた一戦でした。

Y

ハーツ産駒のジャスタウェイがドバイで勝った時、父の姿が重なって涙が出ました。 現役時代も種牡馬時代も、いつも私たちに大きな夢を見せてくれた偉大な馬です。

S

悔しかった。本当に悔しかったけど、あの完璧な立ち回りを見せられたら完敗を認めるしかなかった。 最強馬に唯一土をつけたライバルとして、ずっと記憶に残っています。

BEHIND THE SCENES

秘蔵エピソード

英雄を倒した実力馬の、知られざる素顔

01

馬房での暴れん坊

レースや調教で人が跨ると「猫のようにおとなしい」と言われた彼だが、馬房に帰ると一変して暴れん坊だったという。 特に後ろ脚だけでなく前脚も飛んでくる激しさで、スタッフは常に油断ができなかった。 キングジョージ遠征の際には、現地の石壁を蹴り壊してしまい、英国の調教師を驚愕させたという武勇伝も残っている。

02

亡き友への手向け

2023年3月、ハーツクライがこの世を去ってから2週間後。 ドバイシーマクラシックを制したイクイノックスの鞍上には、かつてハーツと共に世界を制したルメール騎手がいた。 「このレースを勝つのは、彼以来」。 勝利インタビューで天国の相棒に想いを馳せたルメールの言葉に、多くのファンが涙した。

Deep Impact
THE LEGEND
DESTINY

DEEP IMPACT

ディープインパクト

日本競馬史上、最も「神」に近かった馬。無敗の三冠馬ディープインパクト。 彼が国内で喫した唯一の敗北、それがハーツクライに屈した有馬記念だった。

飛ぶような末脚ですべてをねじ伏せてきた英雄に対し、ハーツクライは「先行して押し切る」という力技で対抗した。 最強の馬がいたからこそ、最強を超えるための戦略が生まれ、伝説のレースが完成した。

引退後も種牡馬として覇権を争い続けた二頭。 互いに高め合ったその関係性は、まさに運命のライバルだった。

2005 有馬記念
1st ハーツクライ
vs
2nd ディープインパクト

神に挑んだ馬

神に挑んだ馬

「善戦マン」。かつて彼はそう呼ばれていた。 3歳時のクラシック戦線では常に上位に食い込むものの、あと一歩が届かない。 ダービー2着、宝塚記念2着、ジャパンカップ2着。 シルバーコレクターという不名誉なレッテルは、彼の高い実力の裏返しでもあったが、同時に「勝ちきれない弱さ」の証明でもあった。

運命を変えた出会い

転機は2005年の秋に訪れる。名手クリストフ・ルメールとの出会いだ。 ジャパンカップでレコードタイムの2着に入り、確かな手応えを掴んだ陣営は、年末のグランプリで大胆な賭けに出る。 相手は無敗の三冠馬ディープインパクト。常識的に考えれば、勝てるはずのない相手だった。 しかし、ルメールはそれまでの「追い込み」というハーツクライのスタイルを捨て、「先行」を選んだ。 「ディープより前にいなければ勝てない」。そのシンプルな結論が、歴史を動かすことになる。

伝説となった日

クリスマスの有馬記念。中山の短い直線。 早めに先頭に立ったハーツクライの背後に、英雄の影が迫る。 いつものように飲み込まれるのか。誰もがそう思った瞬間、ハーツクライはもう一段階ギアを上げた。 「心の叫び」という名の通り、魂を削るような力走で、彼は神の追撃を半馬身封じ込めた。 世界最強馬に国内唯一の土をつけた瞬間。それは、彼が「名馬」から「伝説」へと昇華した瞬間だった。

受け継がれる魂

その後、ドバイの大舞台でも圧勝し、世界にその名を轟かせたハーツクライ。 引退後も種牡馬として、世界ランキング1位に輝いたジャスタウェイ、有馬記念を圧勝したリスグラシュー、そしてダービー馬ドウデュースなど、数々の傑作を世に送り出した。 彼らは一様に、父譲りの成長力と、爆発的な破壊力を秘めていた。

「彼は教えてくれた。決して諦めてはいけないと。戦い方を変えれば、神にだって勝てるのだと」

2023年、彼は天国へと旅立った。 しかし、その血と魂は、子供たちの中に確かに生き続けている。 不可能を可能にした逆転のドラマは、これからもターフの上で、形を変えて語り継がれていくだろう。 ハーツクライ。その名前は、挑戦者の代名詞として永遠に刻まれている。