Fenomeno

The Black Monster Fenomeno

黒き怪物が支配した、
淀の3200メートル。

PROFILE

生誕2009.04.20
調教師戸田博文 (美浦)
主戦騎手蛯名正義
通算成績18戦7勝 [7-3-0-8]
主な勝鞍 天皇賞・春 (G1) 2連覇
日経賞 (G2) 2連覇
セントライト記念 (G2)
青葉賞 (G2)

PEDIGREE

FATHER
ステイゴールド
(日本) 1994
サンデーサイレンス
ゴールデンサッシュ
×
MOTHER
ディラローシェ
(愛) 1999
デインヒル
Sea Port

父は小柄ながら黄金の精神を持つ名種牡馬、母の父は世界を席巻した大種牡馬デインヒル。その配合は500kgを超える巨躯と、ステイゴールド産駒特有の勝負根性をフェノーメノに授けた。「怪物」の名の通り、その身体能力は超常的ですらあった。

CAREER RECORD

全レース成績

TOTAL: 18 RUNS 7 - 3 - 0 - 8
DATERACE NAMECOURSE / DIST.JOCKEYRESULT
2015.03.28日経賞 (G2)中山 / 芝2500m戸崎圭太8th
2014.12.28有馬記念 (G1)中山 / 芝2500m田辺裕信10th
2014.11.30ジャパンカップ (G1)東京 / 芝2400m岩田康誠8th
2014.11.02天皇賞・秋 (G1)東京 / 芝2000m蛯名正義14th
2014.05.04天皇賞・春 (G1)京都 / 芝3200m蛯名正義1st
2014.03.29日経賞 (G2)中山 / 芝2500m蛯名正義5th
2013.06.23宝塚記念 (G1)阪神 / 芝2200m蛯名正義4th
2013.04.28天皇賞・春 (G1)京都 / 芝3200m蛯名正義1st
2013.03.23日経賞 (G2)中山 / 芝2500m蛯名正義1st
2012.11.25ジャパンカップ (G1)東京 / 芝2400m蛯名正義5th
2012.10.28天皇賞・秋 (G1)東京 / 芝2000m蛯名正義2nd
2012.09.17セントライト記念 (G2)中山 / 芝2200m蛯名正義1st
2012.05.27日本ダービー (G1)東京 / 芝2400m蛯名正義2nd
2012.04.28青葉賞 (G2)東京 / 芝2400m蛯名正義1st
2012.03.04弥生賞中山 / 芝2000m岩田康誠6th
2012.01.293歳500万下東京 / 芝2000m岩田康誠1st
2011.12.25ホープフルS中山 / 芝2000m岩田康誠7th
2011.10.302歳新馬東京 / 芝2000m岩田康誠1st
CAREER HIGHLIGHTS

怪物の覚醒

01
Tenno Sho Spring 2014
4-7
2014.05.04 / 京都 3200m

THE LEGEND

第149回 天皇賞(春)

前年の覇者として挑んだ盾。隣のゲートから放たれたゴールドシップの唸り声に動じることなく、フェノーメノは己の走りに徹した。直線、力強く抜け出すと、猛追するライバルを封じ込めてゴール。メジロマックイーン、テイエムオペラオーに並ぶ史上3頭目の連覇達成。京都の長丁場で、その強さは絶対的だった。

TIME
3:15.1
STATUS
REPEAT
02
Tenno Sho Spring 2013
6
2013.04.28 / 京都 3200m

THE GLORY

第147回 天皇賞(春)

ダービーでの惜敗、天皇賞秋での2着。あと一歩で届かなかったGIの頂へ、ついに手が届いた。断然人気を背負った同門のゴールドシップを尻目に、淀の坂を軽快に駆け下りる。蛯名正義騎手の叱咤に応え、力強く伸びた末脚。3分14秒2の好時計で、黒き怪物がついに「最強」を証明した。

1着 フェノーメノ 2着 トーセンラー
03
Tokyo Yushun
6-11
2012.05.27 / 東京 2400m

SO CLOSE

第79回 東京優駿

青葉賞を圧勝して乗り込んだ大舞台。直線、内から伸びるディープブリランテを猛烈に追い上げた。残り100メートル、50メートル。一完歩ごとに差は縮まったが、非情にもゴール板が先に訪れた。ハナ差、あるいはクビ差。そのわずかな「銀メダル」が、後の怪物をより強く、より貪欲にさせた。

TIME
2:23.8
MARGIN
0.0s
04
Aoba Sho
17
2012.04.28 / 東京 2400m

FIRST IMPACT

第19回 青葉賞

後に「主戦」となる蛯名正義との運命的な出会い。それまでの子供っぽさが抜け、ダービーへの優先出走権を懸けた一戦でフェノーメノは異次元の走りを見せた。持ったままの手応えで直線へ向くと、後続を突き放す独走劇。東京2400mで見せたその輝きは、クラシックの主役誕生を予感させるに十分だった。

1着 フェノーメノ 2着 エタンダール
DATA ANALYTICS

淀を制した
世界一の持久力

2013年の天皇賞(春)。フェノーメノは3分14秒2という好時計で長距離王の座に就いた。 特筆すべきは国際的評価だ。この勝利により、彼は超長距離(E区分)におけるロンジン・ワールド・ベストレースホース・ランキングで世界1位に格付けされた。 500kgを超える大型馬でありながら、3200mを走り切る無尽蔵のスタミナは、まさに「怪物」の名に相応しいものだった。

121

WORLD RANKING No.1

2013年度 世界最高評価

※E(Extended)区分における評価

STAYER PERFORMANCE

極限のスタミナ証明
STAMINA (E-CATEGORY) 121
WORLD TOP CLASS
AVERAGE G1 WINNER 115
STANDARD
PERFORMANCE GAP +6pts
ABSOLUTE POWER
2013年 世界最高格付け
FENOMENO
「マ~メちん」と呼ぶとね、
ヒヒ〜ンと鳴いて応えてくれるんだ。
調教師 戸田博文
インタビューより
大きな馬で、跳びも大きい。
それでも器用に京都を立ち回ってくれた。
主戦騎手 蛯名正義
天皇賞連覇後のコメント
FAN VOICES

ファンからの声

M

春の盾連覇!ステイゴールドの子なのに真面目に走る姿が大好きでした。「マメちん」という愛称とのギャップがたまらない名馬です。

S

ゴールドシップを力でねじ伏せたあの春天は忘れられません。黒い馬体が京都の緑に映えて、本当に美しく力強かった。

L

引退してリードホースになったと聞いて感動しました。あんなに強かった怪物が、今は子馬たちを守る優しいお兄さんなんですね。

BEHIND THE SCENES

秘蔵エピソード

「怪物」の仮面の下に隠された、愛すべき素顔

01

愛称は「マメちん」

漆黒の巨躯から想像もつかないが、戸田調教師は彼を「マメちん」と呼んで可愛がっていた。仔馬の頃、黒豆のように艶やかな毛色だったことが由来。この呼び名に反応するのは世界中で戸田調教師ただ一人だけで、見学者が呼んでも知らんぷりをするという。引退後もニンジンを持った恩師が訪ねてくると、かつての怪物は子供のように鳴いて喜ぶという。

02

子馬たちの「優しい兄貴分」

種牡馬引退後、フェノーメノはリードホースという大役を任された。最初は子馬たちに逃げられ、途方に暮れて立ち尽くす姿も見られたが、次第にその優しさが伝わっていった。かつてステイゴールド一族として他馬を威嚇していた闘争心はどこへやら、今は離乳したばかりの不安な子馬たちに寄り添う、頼もしくも穏やかな第二の馬生を歩んでいる。

Gentildonna
THE ETERNAL RIVAL
SYNCHRONICITY

GENTILDONNA

ジェンティルドンナ

同じ2009年生まれ。同じ勝負服。しかし、フェノーメノにとって彼女は最後まで超えられない巨大な壁だった。

戦績は5戦5敗。3歳時のジャパンカップから引退レースの有馬記念まで、何度挑んでもその背中は遠かった。最強牝馬という宿命の相手。

だが、彼女がいたからこそ、フェノーメノの天皇賞連覇という偉業はより一層の輝きを放つ。ライバルに敗れ続けた苦しみが、長距離という自らの聖域で爆発し、歴史的な連覇へと繋がったのだ。

2012 ジャパンカップ
5th フェノーメノ
vs
1st ジェンティルドンナ

黄金の魂を継ぐ怪物

黄金の魂を継ぐ怪物

フェノーメノという名は、ポルトガル語で「超常現象」あるいは「怪物」を意味する。その名が刻まれた歴史のページをめくれば、そこにはステイゴールドから受け継いだ黄金の勝負根性と、デインヒル譲りの屈強な馬体が融合した、稀代のステイヤーの姿がある。彼の歩みは、常に「あと一歩」の悔しさから始まり、やがて絶対的な支配者へと昇り詰める、魂の逆転劇だった。

鼻差に泣いた、情熱の記憶

2012年の日本ダービー。フェノーメノと蛯名正義のコンビは、直線で猛烈な末脚を爆発させた。内のディープブリランテとの壮絶な叩き合い。一完歩ごとに差を詰め、並びかけたところがゴールだった。電光掲示板に表示された「ハナ差」。そのわずかな差が、彼に「怪物」としての自覚を芽生えさせた。負けはしたが、誰よりも強い競馬をした。その確信が、秋のセントライト記念、そして天皇賞(秋)での激闘へと彼を突き動かしていく。

淀に咲いた、連覇の奇跡

彼の真価が最も発揮されたのは、京都競馬場、芝3200メートルの過酷な舞台だった。2013年、同門のスターホース・ゴールドシップを完璧な立ち回りで退け、悲願のGI初制覇を飾る。そして翌2014年。脚部不安を乗り越え、史上3頭目となる天皇賞(春)連覇を達成した。隣のゲートで暴れる宿敵を横目に、泰然自若としてゲートを出たあの姿。それは、気性難で知られるステイゴールド産駒が見せた、驚くべき理性と闘志の結晶だった。

戦士から守護者へ

怪物のキャリアは、怪我との戦いでもあった。何度も再発する繋靱帯炎。それでも彼は走り続け、盾の栄誉を死守した。引退後、種牡馬を経て、彼は追分ファームで「リードホース」という新たな役割を得た。かつてターフで他を圧倒したその強靭な体は、今、親から離れたばかりの子馬たちを優しく包み込んでいる。

「規格外のその強さに畏怖の念を込めて」
――記念ブックレットより

かつて「美浦のドルジ」と畏怖された怪物は、今、穏やかな北の大地で、未来のスター候補たちの道標となっている。激しい戦いの末に辿り着いた、平穏な日々。しかし、我々が忘れることはないだろう。春の淀で見せた、あの圧倒的な漆黒の輝きを。フェノーメノ。その名は、永遠に色褪せない「伝説」として、競馬ファンの心に刻まれ続ける。