Duramente

The Wild King Duramente

「荒ぶる魂」が、
時代をねじ伏せた。

PROFILE

生誕2012.03.22
調教師堀宣行 (美浦)
主戦騎手M.デムーロ
通算成績9戦5勝 [5-4-0-0]
主な勝鞍 日本ダービー (G1)
皐月賞 (G1)
中山記念 (G2)

PEDIGREE

FATHER
キングカメハメハ
(日本) 2001
Kingmambo
マンファス
×
MOTHER
アドマイヤグルーヴ
(日本) 2000
サンデーサイレンス
エアグルーヴ

父は大王キングカメハメハ、母はエリザベス女王杯連覇の名牝、祖母は女帝エアグルーヴ。 日本競馬の結晶とも言える超良血。その血統背景に恥じない爆発的な能力と、時に制御不能となるほどの激しい気性を併せ持っていた。

CAREER RECORD

全レース成績

TOTAL: 9 RUNS 5 - 4 - 0 - 0
DATERACE NAMECOURSE / DIST.JOCKEYRESULT
2016.06.26宝塚記念 (G1)阪神 / 芝2200mM.デムーロ2nd
2016.03.26ドバイシーマC (G1)メイダン / 芝2410mM.デムーロ2nd
2016.02.28中山記念 (G2)中山 / 芝1800mM.デムーロ1st
2015.05.31日本ダービー (G1)東京 / 芝2400mM.デムーロ1st
2015.04.19皐月賞 (G1)中山 / 芝2000mM.デムーロ1st
2015.02.15共同通信杯 (G3)東京 / 芝1800m石橋脩2nd
2015.02.01セントポーリア賞東京 / 芝1800m石橋脩1st
2014.11.082歳未勝利東京 / 芝1800mR.ムーア1st
2014.10.122歳新馬東京 / 芝1800mF.ベリー2nd
CAREER HIGHLIGHTS

荒削りな天才の証明

01
Satsuki Sho
1-2
2015.04.19 / 中山 2000m

THE IMPACT

第75回 皐月賞

4コーナーで大きく外へ膨れる致命的なロス。 誰もが「終わった」と思った瞬間、そこから異次元の末脚が炸裂した。 荒削りな走りで他馬をねじ伏せたその姿に、デムーロ騎手は「女の子みたいに細いのに、乗ると野獣」と驚愕した。

TIME
1:58.2
LAST 3F
33.9
02
Tokyo Yushun
14
2015.05.31 / 東京 2400m

THE RECORD

第82回 日本ダービー

皐月賞の荒削りな勝利から一転、ダービーでは王者の風格漂う完璧なレース運びを見せた。 直線で抜け出すと、従来のレコードを大幅に更新する2分23秒2を叩き出す。 ゴール後、M.デムーロ騎手が見せた「飛行機ポーズ」は、世代の頂点に立った喜びの象徴だった。

1着 ドゥラメンテ 2着 サトノラーゼン
03
Nakayama Kinen
5-9
2016.02.28 / 中山 1800m

THE RETURN

第90回 中山記念

両橈骨遠位端骨折という重傷からの復帰戦。 馬体重はプラス18kgと大きく成長し、まるで別の馬のような迫力を纏って帰ってきた。 休み明けを感じさせない走りで快勝し、「大人の体になった」と鞍上を唸らせた。

TIME
1:45.9
WEIGHT
+18kg
04
Takarazuka Kinen
9
2016.06.26 / 阪神 2200m

THE TRAGEDY

第57回 宝塚記念

凱旋門賞挑戦を見据えた国内ラストラン。 強豪マリアライトに僅かに及ばず2着。しかし悲劇はゴール入線直後に起きた。 左前脚の故障。下馬したデムーロ騎手の悲痛な表情が、夢の終わりを告げていた。 これが、天才の最後の輝きとなった。

1着 マリアライト 2着 ドゥラメンテ
DATA ANALYTICS

父を超えた
ダービーレコード

2015年の日本ダービー。ドゥラメンテは父キングカメハメハが保持していたレースレコードを0.1秒更新する2分23秒2で駆け抜けた。 ディープインパクトすら並ぶことしかできなかった偉大な父の記録を、その息子が塗り替えた瞬間。 それは、日本近代競馬の結晶としてのポテンシャルが証明された歴史的な1ページだった。

2:23.2

DERBY RECORD

2400m 走破時計

※2015 日本ダービー

RECORD BREAKING

父と子の物語
FATHER'S RECORD (2004) 2:23.3
KING KAMEHAMEHA
DURAMENTE (2015) 2:23.2
NEW LEGEND
TIME DIFFERENCE -0.1s
HISTORY UPDATED
レコード更新幅
DURAMENTE
見た目は女の子みたいに細い。
でも乗ると野獣になる。
今まで乗った中で一番強い馬です。
主戦騎手 M.デムーロ
インタビューより
強い精神力で困難に打ち勝ってきた。
今回の事態も克服してくれると信じていた。
言葉を失います。
調教師 堀宣行
訃報に際して
FAN VOICES

ファンからの声

S

皐月賞の4コーナー、あんなに外へ飛んでいった時は「終わった」と思った。 そこから差し切るなんて常識では考えられない。あの日見たのは、競走馬というより怪物だった。

Y

種牡馬としての成功が凄まじい。リバティアイランドにタイトルホルダー、 早逝してしまったことが本当に悔やまれる。彼の血は間違いなく日本競馬の宝だ。

K

ダービーのゴール後、ミルコが見せた飛行機ポーズが忘れられない。 あの瞬間、世界で一番幸せな人馬に見えた。最高のコンビだったと思う。

BEHIND THE SCENES

秘蔵エピソード

「荒ぶる魂」の裏側にあった、愛すべき素顔

01

勝利の美酒は500万下?

日本ダービー制覇の夜、M.デムーロ騎手は喜びのあまり朝8時まで祝杯をあげたという。 「クリストフや武豊さんはオープンクラスだけど、僕は飲むことに関しては500万下、いや未勝利かな。すぐ酔っ払っちゃう」 と自虐的に語るミルコ。その泥酔エピソードさえも、愛馬への深い愛情と達成感の裏返しだった。

02

少年から大人へ

ダービー後の骨折休養中、牧場を訪れたデムーロ騎手は目を疑った。 そこには、かつての「女の子みたい」な華奢な姿はなく、体重が20kg近く増え、鋼のような筋肉を纏った馬がいたのだ。 「ただ太ったんじゃない。大人の体になった」 逆境の時間さえも成長の糧に変えてしまう、ドゥラメンテの生命力の強さを物語る逸話である。

Kitasan Black
THE PHANTOM RIVAL
DESTINY

KITASAN BLACK

キタサンブラック

もし、ドゥラメンテが無事であり続けたなら。競馬ファンが永遠に夢想する「if」の中心には、いつもこの馬がいる。

2015年の春、ドゥラメンテはキタサンブラックを子供扱いした。ダービーでは14着と突き放し、勝負付けは済んだかに思えた。 しかし、ドゥラメンテが怪我に泣いている間に、キタサンブラックは古馬王道の覇者へと成長を遂げる。

真の王者となった二頭が再び相まみえることは、ついに無かった。 だからこそ彼らは、永遠に決着のつかない最強のライバルとして語り継がれるのだ。

2015 日本ダービー
1st ドゥラメンテ
vs
14th キタサンブラック

荒ぶる魂の継承

荒ぶる魂の継承

わずか9戦。そのキャリアは決して長くはない。 しかし、ドゥラメンテがターフに残した爪痕は、他のどの馬よりも深く、そして鮮烈だった。 音楽用語で「荒々しく、はっきりと」を意味するその名の通り、彼は常に激しく、見る者の心を揺さぶり続けた。 それは単なる速さへの称賛ではなく、制御不能なエネルギーへの畏怖にも似た感情だった。

衝撃と、栄光と、挫折と

2015年の皐月賞。第4コーナーで彼が見せた斜行は、あるいは若さゆえの過ちだったかもしれない。 しかし、そこから体勢を立て直し、他馬をごぼう抜きにした脚色は、常識の枠を超えていた。 続く日本ダービー。父キングカメハメハ、祖母エアグルーヴという超良血の証明。 2分23秒2というレコードタイムで駆け抜けた時、彼は間違いなく日本最強の馬だった。 だが、神は彼に試練を与える。骨折による長期離脱。 復帰後も強さを見せたが、宝塚記念での無念の故障により、その物語は唐突に幕を下ろすことになる。

早すぎる別れ、そして伝説へ

引退後、種牡馬としての第二の馬生が始まった。 父譲りのバネと母系の気性を受け継ぐ産駒たちは、またたく間にターフを席巻する。 しかし2021年夏、急性大腸炎により9歳という若さで彼はこの世を去った。 早すぎる死に競馬界は悲しみに暮れたが、物語はそこで終わりではなかった。 彼の死後、残された産駒たちが次々と覚醒を始めたのだ。

血は生き続ける

逃げてG1を3勝したタイトルホルダー、圧倒的な強さで牝馬三冠を制したリバティアイランド、菊花賞を制したドゥレッツァ。 タイプは違えど、彼らの走りには父から受け継いだ「爆発力」と「底知れぬ強さ」が宿っている。 2023年、天国の父に捧げるリーディングサイアー獲得。 わずか5世代の産駒で頂点に立った事実は、ドゥラメンテという種牡馬がいかに規格外であったかを歴史に刻みつけた。

「彼はただ強いだけじゃなかった。誰よりも特別なキャラクターを持っていた」
――M.デムーロ

もし彼がもっと長く生きていたら。もし彼がもっと走り続けていたら。 そんな「if」を語りたくなるほど、彼の馬生は短く、濃密だった。 ドゥラメンテ。その荒ぶる魂は消え去ったのではない。 子供たちの血管の中を、今も熱く、激しく駆け巡っているのだ。 一閃の衝撃は、永遠の血脈となって未来へ続いていく。