Daring Tact

The Unbeaten Daring Tact

「無敗」という奇跡。
彼女は伝説になった。

PROFILE

生誕2017.04.15
調教師杉山晴紀 (栗東)
主戦騎手松山弘平
通算成績13戦5勝 [5-1-3-4]
主な勝鞍 牝馬三冠 (桜花賞、オークス、秋華賞)
エルフィンS (L)
2着 金鯱賞 (G2)
3着 ジャパンカップ (G1)、宝塚記念 (G1)

PEDIGREE

FATHER
エピファネイア
(日本) 2010
シンボリクリスエス
シーザリオ
×
MOTHER
デアリングバード
(日本) 2011
キングカメハメハ
デアリングハート

父は初年度から大物を輩出した名種牡馬、母系は祖母デアリングハートらが活躍した堅実な血統。 日高の小さな牧場で生まれた彼女は、サンデーサイレンスの「奇跡の血量」を宿し、誰も予想し得なかった伝説の扉を開いた。

CAREER RECORD

全レース成績

TOTAL: 13 RUNS 5 - 1 - 3 - 4
DATERACE NAMECOURSE / DIST.JOCKEYRESULT
2022.11.27ジャパンカップ (G1)東京 / 芝2400mT.マーカンド4th
2022.11.13エリザベス女王杯 (G1)阪神 / 芝2200m松山弘平6th
2022.09.25オールカマー (G2)中山 / 芝2200m松山弘平6th
2022.06.26宝塚記念 (G1)阪神 / 芝2200m松山弘平3rd
2022.05.15ヴィクトリアマイル (G1)東京 / 芝1600m松山弘平6th
2021.04.25QE2世C (G1)沙田 / 芝2000m松山弘平3rd
2021.03.14金鯱賞 (G2)中京 / 芝2000m松山弘平2nd
2020.11.29ジャパンカップ (G1)東京 / 芝2400m松山弘平3rd
2020.10.18秋華賞 (G1)京都 / 芝2000m松山弘平1st
2020.05.24優駿牝馬 (G1)東京 / 芝2400m松山弘平1st
2020.04.12桜花賞 (G1)阪神 / 芝1600m松山弘平1st
2020.02.08エルフィンS (L)京都 / 芝1600m松山弘平1st
2019.11.162歳新馬京都 / 芝1600m松山弘平1st
CAREER HIGHLIGHTS

三冠への軌跡

01
Oka Sho
5-9
2020.04.12 / 阪神 1600m

THE IMPACT

第80回 桜花賞

重馬場の中、2歳女王レシステンシアが逃げる展開。 後方待機を選択した彼女は、直線で大外へ持ち出すと、別次元の末脚を炸裂させた。 雨を切り裂くような豪脚で先行勢をまとめて飲み込み、一冠目を奪取。 その走りは、新たな女王の誕生を強烈に印象づけた。

TIME
1:36.1
WEATHER
RAINY
02
Yushun Himba
2-4
2020.05.24 / 東京 2400m

THE BRAVERY

第81回 優駿牝馬(オークス)

直線入り口、前は壁。絶体絶命のポジションに入ってしまう。 しかし、松山騎手と彼女は諦めなかった。 わずかな隙間をこじ開け、馬群を割って突き抜ける勝負根性。 上がり33秒1という驚異的な末脚で、二冠を達成した。

1着 デアリングタクト 2着 ウインマリリン
03
Shuka Sho
7-13
2020.10.18 / 京都 2000m

THE LEGEND

第25回 秋華賞

史上初の「無敗での牝馬三冠」がかかる大一番。 単勝1.4倍の圧倒的支持を受け、マークされる厳しい展開ながらも、 自ら動いてねじ伏せる横綱相撲を見せた。 デビューからわずか5戦。日本競馬史に新たな伝説が刻まれた瞬間だった。

RECORD
UNBEATEN
CROWN
TRIPLE
DATA ANALYTICS

次元を超えた
衝撃の末脚

2020年の優駿牝馬(オークス)。直線入り口で行き場を失いかけながら、わずかな隙間をこじ開けた瞬間、彼女のエンジンが点火した。 繰り出された上がり3ハロンのタイムは33秒1。 2400mという長丁場を経てなお、スプリント戦のような瞬発力を発揮。 これはオークス史上最速の記録であり、彼女のポテンシャルが規格外であることをデータが証明した瞬間だった。

33.1

FASTEST RECORD

オークス 上がり3F

※史上最速タイム

EXPLOSIVE SPEED

他馬を置き去りにする加速
2nd PLACE (WIN MARILYN) 34.0
STANDARD ELITE
DARING TACT (2020) 33.1
UNKNOWN ZONE
SPEED DIFFERENCE -0.9s
OVERWHELMING
後続との脚色の差
DARING TACT
彼女は一生に一度出会えるかどうかの馬。
言葉では表現しきれないほど特別な存在です。
主戦騎手 松山弘平
香港遠征時のインタビューより
この馬の価値とこれまでの功績を考えれば、
彼女の将来が何よりも最優先です。
調教師 杉山晴紀
長期休養の判断に際して
FAN VOICES

ファンからの声

Y

秋華賞、現地で歴史的瞬間を目撃しました。 無敗のまま三冠を達成したあの強さ。 小さな牧場から生まれた「日高の星」が頂点に立った事実に涙が止まりませんでした。

S

怪我からの復帰戦となったヴィクトリアマイル。 結果は負けてしまったけれど、懸命に走る彼女の姿に勇気をもらいました。 無事に帰ってきてくれただけで十分です。

K

アーモンドアイ、コントレイルとの3強対決。 敗れはしたものの、最強の古馬たちに食らいついた根性は本物。 これぞ競馬、という熱いレースを見せてくれてありがとう。

BEHIND THE SCENES

秘蔵エピソード

最強女王の素顔と、彼女を支えた男たちの熱い物語

01

松山騎手の覚悟

2021年、香港のクイーンエリザベス2世カップへの遠征が決まった際、 主戦の松山弘平騎手は国内でのG1騎乗機会を全て断り、 2週間の隔離期間を受け入れてでも香港へ向かうことを即決した。 「Horse of a lifetime(一生に一度の馬)」と公言する彼女の手綱は、 誰にも渡したくないという騎手としての強い愛情と覚悟の表れだった。

02

日高の希望の星

彼女の生産牧場である長谷川牧場は、決して大規模な牧場ではない。 デアリングタクトは、そんな家族経営の牧場から生まれた「シンデレラ」だった。 1歳時のセリ価格は1,200万円(税抜)。 決して高額馬ではなかった少女が、数億円を稼ぐ三冠馬へと成長する物語は、 日本中の生産者たちに大きな夢と勇気を与えた。

Almond Eye
THE LEGEND
THE WALL

ALMOND EYE

アーモンドアイ

無敗の三冠牝馬となったデアリングタクトの前に立ちはだかったのは、 日本競馬史上最多のG1・9勝を挙げた「絶対女王」アーモンドアイだった。

2020年ジャパンカップ。 アーモンドアイ、コントレイル、そしてデアリングタクト。 史上初めて3頭の三冠馬が激突した世紀の一戦。 彼女は初めて「敗北」を知ったが、偉大な先輩女王の背中を追って3着に食い込んだ。 この敗戦は、彼女が「挑戦者」としてさらに強くなるための通過儀礼となった。

2020 ジャパンカップ
3rd デアリングタクト
vs
1st アーモンドアイ

不屈の三冠牝馬

不屈の三冠牝馬

「無敗」。それは甘美な響きであると同時に、あまりにも重い十字架でもある。 デアリングタクトは、その重圧を小さな身体で受け止め、跳ね返し続けた。 2020年、コロナ禍で歓声の消えた競馬場を、彼女だけが鮮烈な光を放って駆け抜けた。 史上初の無敗での牝馬三冠達成。誰もが彼女の未来に栄光だけが待っていると信じていた。

初めて知った敗北、そして世界へ

しかし、競馬の神様は試練を与える。 世紀の対決となったジャパンカップでの初めての敗北。 それでも彼女は下を向かなかった。翌年、香港の地で世界の強豪と渡り合った。 3着。勝利には届かなかったが、松山騎手と共に世界に挑んだその姿は、日本のファンの誇りだった。 だが、帰国後に待っていたのは「右前肢繋靭帯炎」という競走馬にとって致命的になりかねない大怪我だった。

奇跡の復活と、引き際の美学

9ヶ月以上に及ぶ過酷なリハビリ。 「もう走れないかもしれない」。そんな不安の中で、陣営は彼女の回復を信じ続けた。 そして2022年5月、ヴィクトリアマイルで彼女はターフに帰ってきた。 かつてのような圧倒的な末脚は影を潜めていたかもしれない。 それでも、泥臭く、懸命に、ゴールを目指して走る姿に、ファンは無敗時代以上の感動を覚えた。 勝つことだけが全てではない。何度倒れても立ち上がる強さを、彼女は教えてくれた。

母として紡ぐ、新たな夢

2023年、彼女は静かに競走生活に別れを告げた。 通算13戦5勝。決して多い出走数ではない。しかし、その中身の濃さは計り知れない。 無敗の栄光、怪我の苦悩、復活の執念。 その全てを経験した彼女は今、生まれ故郷の北海道で母となった。 エピファネイアの血を受け継ぎ、サンデーサイレンスの奇跡を宿した彼女の子供たちが、 いつかまたターフで新しい伝説を作り出すだろう。

「ありがとう、デアリングタクト。君の背中は、僕にとって最高の教室でした」
――松山弘平

日高の小さな牧場から生まれた奇跡の少女は、大人になり、母となり、永遠の伝説となった。 私たちは忘れない。 閉塞感に包まれた2020年の日本に、希望という名の衝撃を与えてくれた、あの青い勝負服の少女を。