Chuwawizard

The WizardChuwawizard

「安定」という名の芸術。
砂の上で、彼は魔法をかけた。

PROFILE

生誕2015.03.14
調教師大久保龍志 (栗東)
主戦騎手川田将雅 / 戸崎圭太
通算成績26戦11勝 [11-6-6-3]
主な勝鞍チャンピオンズC (G1)
JBCクラシック (Jpn1)
川崎記念 (Jpn1) 2連覇
ドバイWC (G1) 2着

PEDIGREE

FATHER
キングカメハメハ
(日本) 2001
Kingmambo
マンファス
×
MOTHER
チュウワブロッサム
(日本) 2007
デュランダル
チュウワプリンセス

父は万能の帝王、母父は切れ味鋭い聖剣。ダート馬らしいパワーの中に、芝馬のようなレースセンスと加速力を内包した配合。砂の深い地方競馬から、スピードを要求されるドバイの馬場まで、あらゆる条件を魔法のように攻略した背景がここにある。

CAREER RECORD

全レース成績

TOTAL: 26 RUNS11 - 6 - 6 - 3
DATERACE NAMECOURSE / DIST.JOCKEYRESULT
2022.06.29帝王賞 (Jpn1)大井 / ダ2000m川田将雅2nd
2022.03.26ドバイワールドC (G1)メイダン / ダ2000m川田将雅3rd
2022.02.02川崎記念 (Jpn1)川崎 / ダ2100m川田将雅1st
2021.12.05チャンピオンズC (G1)中京 / ダ1800m戸崎圭太2nd
2021.11.03JBCクラシック (Jpn1)金沢 / ダ2100m戸崎圭太3rd
2021.06.30帝王賞 (Jpn1)大井 / ダ2000m戸崎圭太6th
2021.03.27ドバイワールドC (G1)メイダン / ダ2000m戸崎圭太2nd
2021.02.20サウジカップ (G1)キングアブドゥル / ダ1800m戸崎圭太9th
2020.12.06チャンピオンズC (G1)中京 / ダ1800m戸崎圭太1st
2020.11.03JBCクラシック (Jpn1)大井 / ダ2000mC.ルメール3rd
2020.06.24帝王賞 (Jpn1)大井 / ダ2000mC.ルメール3rd
2020.01.29川崎記念 (Jpn1)川崎 / ダ2100m川田将雅1st
2019.12.01チャンピオンズC (G1)中京 / ダ1800m福永祐一4th
2019.11.04JBCクラシック (Jpn1)浦和 / ダ2000m川田将雅1st
2019.06.26帝王賞 (Jpn1)大井 / ダ2000m川田将雅2nd
2019.05.19平安S (G3)京都 / ダ1900m川田将雅1st
2019.03.24マーチS (G3)中山 / ダ1800m福永祐一2nd
2019.01.20東海S (G2)中京 / ダ1800m川田将雅2nd
2018.12.24名古屋グランプリ (Jpn2)名古屋 / ダ2500m川田将雅1st
2018.12.083歳以上500万下中山 / ダ1800m川田将雅1st
2018.09.153歳以上500万下阪神 / ダ1800m藤岡康太3rd
2018.06.243歳未勝利阪神 / ダ1800m川田将雅1st
2018.03.183歳未勝利阪神 / ダ1800m川田将雅3rd
2018.02.173歳新馬京都 / ダ1800m川田将雅3rd
CAREER HIGHLIGHTS

不屈の蹄跡

01
JBC Classic 2019
2-3
2019.11.04 / 浦和 2000m

FIRST GLORY

第19回 JBCクラシック

浦和の小回りコース。早めに動いたチュウワウィザードを、宿命のライバル・オメガパフュームが猛追する。ゴール板で二頭が並んだ瞬間、静寂が訪れた。写真判定の結果は「ハナ差」。執念で掴み取った悲願のビッグタイトルだった。

MARGIN
NOSE
RIVAL
OMEGA
02
Champions Cup 2020
11
2020.12.06 / 中京 1800m

JRA CONQUEST

第21回 チャンピオンズカップ

主戦・川田が最強馬クリソベリルを選び、その背を託されたのは戸崎圭太。代打の神様は、王者を徹底的にマークする強気の競馬を選んだ。直線、抜け出した彼は後続に2馬身半の差をつける。国内ダート最強を証明した歴史的一戦。

1着 チュウワウィザード2着 ゴールドドリーム
03
Dubai World Cup 2021
3
2021.03.27 / メイダン 2000m

GLOBAL MAGIC

ドバイワールドカップ

サウジでの大敗を糧に、大久保師が仕掛けた「朝の1時間運動」という奇策。極限までリラックスした彼は、世界の強豪を相手にインから鋭く伸びた。2着。トゥザヴィクトリー以来20年ぶりとなる快挙。世界に「日本の砂の強さ」を刻みつけた。

RANK
2nd
STREET
MEIDAN
DATA ANALYTICS

驚異の
掲示板確保率

チュウワウィザードを象徴する数字、それは「安定感」である。引退までの全26戦中、5着以内を外したのはわずか3回。国内戦に限れば、23戦中22戦で掲示板を確保するという95.6%の驚異的な数値を叩き出した。どんな馬場、どんな展開でも必ず上位に顔を出すその走りは、馬券を握るファンにとって「最も信頼できる魔法」として親しまれた。

95.6%

STABILITY RATE

国内掲示板確保率

※26戦中23戦で5着以内

PERFORMANCE LOG

崩れない強さの証明
AVERAGE G1 HORSE50.0%
NORMAL RANGE
CHUW AWIZARD (ALL)88.5%
TOTAL CAREER
DOMESTIC RECORD95.6%
NEAR PERFECT
上位入線率
WIZARD
どんな条件でも、どんな相手でも、
必ず自分の力を出し切ってくれる。
主戦騎手 川田将雅
インタビューより
日本の常識にとらわれない調整が、
ドバイでの快挙に繋がった。
調教師 大久保龍志
ドバイWC回顧にて
FAN VOICES

ファンからの声

S

「とりあえずチュウワウィザードを軸にすれば間違いない」という安心感。派手な大差勝ちより、この堅実さこそがプロの仕事だと感じさせてくれる一頭でした。

K

ドバイでの2着入線には震えた。下馬評を覆してインから伸びてきた姿は、まさに魔法使い。日本のダート馬が世界で通用することを証明してくれました。

M

浦和のJBCでのオメガパフュームとの叩き合いは伝説。どっちが勝ってもおかしくない死闘を制したあの根性は、チュウワウィザードの真骨頂でした。

BEHIND THE SCENES

秘蔵エピソード

その堅実な走りの裏側に隠された、知られざる素顔

01

完璧すぎる「優等生」

厩舎では非常に大人しく、スタッフの手を一切煩わせない「超優等生」。しかし一歩ゲートに入れば闘争心の塊へと変貌する。この完璧なオンオフの切り替えこそが、国内外の厳しい輸送や環境変化にも動じない、彼の魔法の源泉だった。

02

常識破りの朝の散歩

2021年のドバイワールドカップ。大久保調教師は「レース当日の朝に1時間歩かせる」という異例の調整を断行した。周囲が驚く中、このガス抜きによって極限のリラックス状態を作った彼は、世界の強豪を飲み込む激走を見せたのである。

Omega Perfume
THE ETERNAL RIVAL
DESTINY

OMEGA PERFUME

オメガパフューム

同じ2015年に生まれた宿命のライバル。「大井の帝王」として右回りで絶対的な強さを誇ったオメガパフュームに対し、チュウワウィザードは「万能の魔法使い」として、あらゆる競馬場でその牙を剥いた。

2019年のJBCクラシックでのハナ差の決着、そしてチャンピオンズカップでの激突。一撃必殺の末脚を持つオメガと、先行して粘り切るチュウワ。正反対のスタイルを持つ二頭の共演は、日本ダート界における至高の数え歌だった。

2019JBC CLASSIC (URAWA)
1stチュウワウィザード
vs
2ndオメガパフューム

砂に刻んだ絶対の信頼

砂に刻んだ絶対の信頼

チュウワウィザード。その名が示す通り、彼は日本のダート戦線に魔法をかけ続けた。しかし、それは決して一瞬の奇跡のようなものではない。絶え間ない努力と、どんな過酷な環境にも屈しない鋼の精神が紡ぎ出した、究極の「安定」という名の魔法であった。

遅れてきた魔法使い

3歳の春、彼はまだ主役ではなかった。新馬、未勝利戦で3着を繰り返し、初勝利は初夏。しかし、ここから彼の物語は急加速する。名古屋グランプリで重賞初挑戦・初制覇を飾ると、古馬となってからは「チュウワウィザードが掲示板を外す姿など想像できない」と言わしめるほどの堅実さを見せた。父キングカメハメハから譲り受けた万能性と、母父デュランダルの加速力。それらが砂の上で完璧に融合し、彼は唯一無二の存在へと昇華していった。

世界の壁を壊した日

彼のキャリアにおける最大の白眉は、2021年のドバイワールドカップだろう。サウジアラビアでの敗戦を受け、陣営は大胆な調整法を選択した。異国の地で、誰も試みなかった手法を信じ抜く。その期待に応え、砂塵舞うメイダンの直線でインから突き抜けた。勝ったミスティックガイドには届かなかったが、その2着は日本のダート馬が「力負け」していた時代に終止符を打つ、希望の光だった。戸崎騎手の謙虚な謝罪に対し、笑顔で握手を求めた陣営の姿は、彼がいかに愛され、信頼されていたかを物語っている。

美しき魔術の終焉

7歳になっても、その魔力は衰えなかった。川崎記念を圧勝し、ドバイで再び3着、そして帝王賞でのクビ差2着。まだまだ第一線で戦える、誰もがそう信じていた。しかし、脚部に忍び寄った異変が、あまりにも静かに、そして唐突に彼の現役生活に幕を引いた。「パフォーマンスが落ちて引退するわけではない」。大久保調教師の言葉には、頂点のままターフを去らせることへの誇りと、かすかな寂しさが滲んでいた。

「精神的に非常に強い。これほど信頼できる相棒はいなかった」
――川田将雅

通算26戦、獲得賞金10億円超。その輝かしい数字以上に、私たちの記憶に残っているのは「どんな時もそこにいる」という、あまりにも当たり前で、あまりにも困難な、彼だけの「誠実さ」だ。砂の魔術師が去ったターフには、今も不屈の蹄跡が深く刻まれている。