Chrysoberyl

The War TankChrysoberyl

「無敗」という衝撃が、
ダートの歴史を塗り替えた。

PROFILE

生誕2016.02.10
調教師音無秀孝 (栗東)
主戦騎手川田将雅
通算成績11戦8勝 [8-0-0-3]
主な勝鞍チャンピオンズカップ (G1)
帝王賞 (Jpn1)
JBCクラシック (Jpn1)
ジャパンダートダービー (Jpn1)

PEDIGREE

FATHER
ゴールドアリュール
(日本) 1999
サンデーサイレンス
ニキーヤ
×
MOTHER
クリソプレーズ
(日本) 2002
エルコンドルパサー
キャサリーンパー

父はダート界の絶対的守護神、母は数々のG1馬を送り出した名牝。サンデーサイレンスの瞬発力と欧州的なスタミナが見事に融合し、大型馬ながら俊敏な「戦車」と称される無欠の馬体が完成した。

CAREER RECORD

全レース成績

TOTAL: 11 RUNS8 - 0 - 0 - 3
DATERACE NAMECOURSE / DIST.JOCKEYRESULT
2021.09.29日本テレビ盃 (Jpn2)船橋 / ダ1800m川田将雅6th
2020.12.06チャンピオンズC (G1)中京 / ダ1800m川田将雅4th
2020.11.03JBCクラシック (Jpn1)大井 / ダ2000m川田将雅1st
2020.06.24帝王賞 (Jpn1)大井 / ダ2000m川田将雅1st
2020.02.29サウジカップK.A.A / ダ1800mC.スミヨン6th
2019.12.01チャンピオンズC (G1)中京 / ダ1800m川田将雅1st
2019.09.23日本テレビ盃 (Jpn2)船橋 / ダ1800m川田将雅1st
2019.07.10ジャパンダートダービー (Jpn1)大井 / ダ2000m川田将雅1st
2019.05.02兵庫チャンピオンシップ (Jpn2)園田 / ダ1870mC.ルメール1st
2019.03.023歳500万下阪神 / ダ1800m川田将雅1st
2018.09.172歳新馬阪神 / ダ1800m川田将雅1st
CAREER HIGHLIGHTS

砂の王道

01
New Horse Race
1-1
2018.09.17 / 阪神 1800m

THE BEGINNING

2歳新馬

スタートで遅れながらも、道中悠々と好位へ。直線で前を捉えると、鞭を入れるまでもなく加速。終わってみれば後続に7馬身、1.2秒という決定的な差をつける圧勝。ダート界のパワーバランスを一夜にして変えてしまう怪物の産声だった。

MARGIN
1.2s
JOCKEY
KAWADA
02
Champions Cup
5
2019.12.01 / 中京 1800m

UNBEATEN RECORD

第20回 チャンピオンズカップ

国内最強決定戦。3歳という若さで古馬の壁に挑んだ彼は、先行するインティと外から迫るゴールドドリームの間を割って突き抜けた。勝ちタイム1:48.5は驚愕のレコード。無敗でのダートGI制覇という日本競馬史上初の快挙を成し遂げた。

1着 クリソベリル2着 ゴールドドリーム
03
JBC Classic
1-1
2020.11.03 / 大井 2000m

ABSOLUTE POWER

第20回 JBCクラシック

国内8戦無敗。帝王賞に続き大井の深い砂を力強く踏みしめ、ライバルたちを寄せ付けない完勝劇。川田騎手が「戦車のよう」と評したパワーと、大型馬らしからぬ器用さが結実。砂の王としての地位を不動のものとした絶頂期のパフォーマンス。

STATUS
UNBEATEN
RANK
No.1
04
Nippon TV Hai
11
2021.09.29 / 船橋 1800m

THE SILENCE

日本テレビ盃

長期休養を経て挑んだ復帰戦。しかし、かつての爆発力は見られず6着に沈む。後に判明したのは喉の病「喘鳴症」。喉を鳴らし、苦しみながら走っていた。結果的にこれがラストランとなったが、砂を被りながらも懸命に脚を伸ばそうとした姿は王者の誇りだった。

ラストラン引退への序曲
DATA ANALYTICS

異次元の
レースレコード

2019年のチャンピオンズカップ。クリソベリルは従来の記録を塗り替える1分48秒5をマークした。砂の深いダートにおいてコンマ1秒を縮めることは至難の業とされる中、3歳馬でありながら叩き出したこのタイムは、彼のスピードとスタミナが従来の枠組みを超えていたことを示している。

1:48.5

CHAMPIONS RECORD

1800m 走破時計

※2019 チャンピオンズカップ

RECORD BREAKING

中京の砂を切り裂いた秒数
PREVIOUS RECORD1:48.6
CONVENTIONAL BEST
CHRYSOBERYL (2019)1:48.5
NEW RECORD
MARGIN TO 2nd-0.1s
CLOSE BUT DECISIVE
タイム短縮幅
CHRYSOBERYL
日本を代表して世界を相手にすべき馬。
国内で負けていい馬ではない。
主戦騎手 川田将雅
インタビューより
素晴らしい能力を持つ馬。
これまでの活躍はずっと忘れない。
調教師 音無秀孝
引退発表時のコメント
FAN VOICES

ファンからの声

D

中京の直線、狭いところを割ってきた根性とスピードに驚きました。3歳でゴールドドリームを競り落とすなんて、本当の怪物が現れたと思いましたね。

S

国内無敗のまま引退してほしかったけど、喉の病気だったなら仕方ない。あの大きな馬体で砂を蹴立てて走る姿は、まさに「砂の戦車」でした。

R

JBCでのクリソベリルはもう別次元でした。他馬が全力で追っているのに、一人だけ馬なり。あの圧倒的な力の差は忘れられません。

BEHIND THE SCENES

秘蔵エピソード

巨体に秘められた意外な繊細さと高い能力

01

大型馬らしからぬ「柔らかさ」

550kgに迫る雄大な馬体を誇りながら、その身のこなしは驚くほど柔軟だった。立ち姿を撮影するためにバックさせると、厩舎スタッフが驚くほど滑らかに動いたという。この巨体と柔軟性の共存こそが、ダートの深い砂を力強く、かつ軽やかに駆け抜ける武器だった。

02

卓越した「自己管理能力」

担当の濱田助手によれば、クリソベリルは自身でコンディションを整えるのが非常に上手い馬だったという。激しいトレーニングの後も無駄に体力を消耗せず、放牧先でもリラックスして過ごす。賢く、自分のやるべきことを理解していたからこそ、デビューから8連勝という快挙が可能となった。

Gold Dream
THE ARCHRIVAL
DESTINY

GOLD DREAM

ゴールドドリーム

クリソベリルが「真の王者」となるために超えなければならなかった壁。それが父ゴールドアリュールの傑作、ゴールドドリームだった。

2019年、チャンピオンズカップ。G1・6勝を誇る百戦錬磨の先輩王者が外から強襲する中、クリソベリルは一歩も引かずに内から脚を伸ばした。首差の決着。時代が動いた瞬間だった。

同じ父を持ち、共にダートを支配した二頭。その直接対決は、砂の歴史における最も熱い世代交代の儀式として刻まれている。

2019CHAMPIONS CUP
1stクリソベリル
vs
2ndゴールドドリーム

砂を支配した戦車

砂を支配した戦車

日本のダート競馬には、時として物理法則を疑わせるほどの「絶対者」が現れる。クリソベリル。その名は、光り輝く宝石を意味する。しかし、彼がターフの砂上で見せた姿は、宝石の繊細さよりも、すべてを押し潰し前進する重戦車の力強さそのものだった。

無敗の進撃、その静かな衝撃

デビュー戦での7馬身差。それは単なる圧勝ではなく、新たな伝説の幕開けだった。川田将雅騎手がその背に乗るたび、クリソベリルは期待以上の答えを叩き出した。地方の重賞、そして3歳にして挑んだチャンピオンズカップ。一戦ごとに、彼は「強い馬」から「負けるはずのない馬」へと昇華していった。インティ、ゴールドドリームといった並み居る強豪を、直線で悠々と差し切った時の静かな衝撃。中京の砂に刻まれたレコードタイムは、彼の王座が絶対的なものであることを証明していた。

沈黙の叫び、喉を抜ける風

しかし、神は彼に無敵の力を与える一方で、あまりにも過酷な試練を用意していた。絶頂期を過ぎた5歳。長期休養から戻った彼は、かつての彼ではなかった。船橋の直線、いつもなら後続を突き放すはずの彼が、もがいていた。レース後、下された診断は「喘鳴症」。喉を通り、肺へと送り込まれるはずの風が、彼の体を苦しめていた。ステージ4。競走馬にとって最も残酷な宣告。彼は沈黙の中で、誰にも言えない苦しみと戦いながら、最後まで王者の誇りを捨てずに走り抜いたのだった。

砂に消えた足跡、次代へ繋ぐ光

国内8戦無敗。その輝かしい数字を抱えたまま、クリソベリルはターフを去った。11戦8勝という戦績は、もっと伸びていたかもしれない。もし喉の病さえなければ、世界をも跪かせていたかもしれない。しかし、その「もし」を補って余りあるほどの熱狂を、彼は私たちに与えてくれた。引退後、彼は種牡馬として新たな使命を担っている。その強靭な馬体と、砂を掴む抜群のセンス。彼の血を継ぐ者たちが、再びダートの王道を歩む日が来るだろう。砂上に消えた足跡は、決して失われたのではない。それは次代へと続く、消えない輝きとして刻まれているのだ。

「素晴らしいポテンシャルを持っていた。日本で負けていい馬ではなかった」
――川田将雅

クリソベリルが駆け抜けた季節。それは、私たちが「砂の神話」を目の当たりにした、あまりにも短く、そして眩い時間だった。かつて砂を統べた王者の名は、日本のダート競馬が続く限り、語り継がれることになるだろう。