ポタジェ:静かなる伏兵が起こした奇跡の旋風
Potager

The Upset Potager

「二強」の影から、
最高の一歩を踏み出した。

PROFILE

生誕2017.02.04
調教師友道康夫 (栗東)
主戦騎手吉田隼人 / 川田将雅
通算成績24戦6勝 [6-4-3-11]
主な勝鞍 大阪杯 (G1)
白富士ステークス (L)
岸和田ステークス
西部日刊スポーツ杯

PEDIGREE

FATHER
ディープインパクト
(日本) 2002
サンデーサイレンス
ウインドインハーヘア
×
MOTHER
ジンジャーパンチ
(米国) 2003
Awesome Again
Nappelon

父は近代日本競馬の結晶、母は米国のG1を6勝した名牝。セレクトセールにて2億500万円で落札された超良血馬。姉にルージュバックを持つ華やかな血統背景は、早くからその大器を予感させていた。

CAREER RECORD

全レース成績

TOTAL: 24 RUNS 6 - 4 - 3 - 11
DATERACE NAMECOURSE / DIST.JOCKEYRESULT
2025.05.05かしわ記念 (Jpn1)船橋 / ダ1600m岩田望来Abn.
2022.04.03大阪杯 (G1)阪神 / 芝2000m吉田隼人1st
2022.03.13金鯱賞 (G2)中京 / 芝2000m吉田隼人4th
2021.10.31天皇賞・秋 (G1)東京 / 芝2000m川田将雅6th
2021.10.10毎日王冠 (G2)東京 / 芝1800m吉田隼人3rd
2021.05.09新潟大賞典 (G3)新潟 / 芝2000m西村淳也2nd
2021.03.14金鯱賞 (G2)中京 / 芝2000m北村友一3rd
2021.01.30白富士S (L)東京 / 芝2000m川田将雅1st
2020.11.14岸和田S阪神 / 芝2000m川田将雅1st
2019.09.292歳新馬中山 / 芝1800m川田将雅1st
CAREER HIGHLIGHTS

不屈の歩み

01
Debut
6-10
2019.09.29 / 中山 1800m

THE PROMISE

2歳新馬

2億円超の期待を背負い、単勝1.3倍の圧倒的人気で迎えたデビュー戦。出遅れを挽回し、直線で外から一気に突き抜ける。非凡な素質を証明し、クラシック候補としての第一歩を刻んだ。

TIME
1:50.1
FAVORITE
1st
02
White Fuji S
5-6
2021.01.30 / 東京 2000m

STEADY PROGRESS

白富士ステークス (L)

夏の1勝クラスから始まった連勝街道。ついに4連勝を達成し、オープンクラスへの切符を掴む。派手さはないが、一戦ごとに力をつけ、崩れない堅実さがポタジェの大きな武器となった。

1着 ポタジェ 2着 サンレイポケット
03
Osaka Hai
4-8
2022.04.03 / 阪神 2000m

GI MIRACLE

第65回 大阪杯

エフフォーリアとジャックドールの2強に沸いた淀。8番人気の伏兵は、地を這うような勝負根性を見せた。直線、追いすがるレイパパレを凌ぎきった瞬間、静かなる実力者がついに頂点へ。競馬史に残る波乱の主役となった。

ODDS
58.7
RESULT
G1 WIN
04
Final Race
8-9
2025.05.05 / 船橋 1600m

FINAL TURF

かしわ記念 (Jpn1)

長期休養を経て挑んだ新天地、ダート。しかし、その脚が限界を迎える。競走中止という苦い結末ながら、最後まで戦い抜いたポタジェの不屈の魂に、ファンからは温かい拍手が送られた。

通算成績:24戦6勝 引退、種牡馬へ
DATA ANALYTICS

不評を覆した
「激走」の証明

2022年大阪杯。8番人気、単勝58.7倍という数字は、多くのファンが彼を「重賞の壁」に阻まれる伏兵と見ていた証だった。しかし、ハイペースの中での卓越したスタミナと、一瞬の隙を突く反応速度は数値以上の実力を秘めていた。彼が刻んだ1分58秒4は、エフフォーリア、ジャックドールという現役最強格を力でねじ伏せた、揺るぎない「G1馬」の証明である。

58.7

WINNING ODDS

単勝配当

※2022 大阪杯(8番人気)

FAVORITE VS RESULT

評価を突き破る実力
PRE-RACE POPULARITY8th
LOW EXPECTATION
ACTUAL RESULT1st
G1 CHAMPION
TIME DIFFERENCE (to 2nd)-0.1s
DETERMINATION
期待値を上回る勝負根性
POTAGER
最後まで促し続けることしかできなかったが、
それに応えてくれた彼が素晴らしかった。
主戦騎手 吉田隼人
大阪杯優勝インタビューより
ディープ産駒っぽくないディープ。
これからはその勝負根性を子に伝えてほしい。
調教師 友道康夫
引退発表時のコメント
FAN VOICES

ファンからの声

S

「まさかのポタジェ」という言葉が飛び交いましたが、あの日の走りは完全に実力。人も馬も生きている、そんなドラマを見せてくれた一戦でした。

R

姉ルージュバックの果たせなかったG1制覇を、弟が成し遂げた。2億500万という価格に嘘はないことを証明してくれました。

H

どんなに人気がなくても、どんなに大敗が続いても、不屈の精神で走り続けた姿に勇気をもらいました。種牡馬としても応援します。

BEHIND THE SCENES

秘蔵エピソード

華やかな血統に隠された、ひたむきな素顔

01

「家庭菜園」という名の闘志

「ポタジェ」という優しく響くフランス語。家庭菜園を意味するその名は、どこか素朴で愛らしい。しかし、その穏やかな名に反して、一度ゲートに入ればディープインパクト譲りの闘争心と、泥臭く粘り通す底力を発揮した。そのギャップこそが、多くのファンを惹きつけた魅力だった。

02

「2億円」を証明した瞬間

セレクトセールで2億500万円という超高額で落札された彼は、デビュー以来「走って当然」という重圧の中にいた。重賞で善戦はするが届かないもどかしさ。しかし大阪杯で2強を破った瞬間、その価格は「高い期待」から「確かな価値」へと変わった。遅咲きの天才が、血の証明を完遂した歴史的瞬間だった。

Efforia
THE ARCHRIVAL
DESTINY

EFFORIA

エフフォーリア

ポタジェの歴史を語る上で、年度代表馬エフフォーリアの存在は欠かせない。誰もが王者の勝利を確信し、単勝1.5倍という圧倒的支持を集めた大阪杯。ポタジェはその王者に真っ向から勝負を挑み、そして破った。

一方は若くして頂点へ駆け上がったエリート、一方は一歩ずつ着実に階段を登った努力家。対照的な二頭が交差した阪神の直線は、競馬の予測不可能性と、ポタジェという馬が秘めていた真の強さを世界に知らしめた。

2022 大阪杯
1st ポタジェ
vs
9th エフフォーリア

不屈の伏兵

不屈の伏兵

ポタジェ。その名は、どんな状況でも腐らずに成長し、最後には豊かな収穫をもたらす庭のように、彼の競走生涯を象徴していた。2億500万円という期待、ディープインパクト産駒という看板、そして名牝ジンジャーパンチの血。彼が背負ったものは、あまりにも大きすぎた。しかし、彼はその重圧を、静かなる闘志へと変えていった。

2億の期待、静かなる胎動

デビューから1番人気に推され続け、常に上位争いを演じた若駒時代。しかし、G1の壁は高く、厚かった。連勝を重ねても、重賞ではあと一歩届かない。世間は彼を「善戦マン」と呼び、次第に中心勢力からは外れていった。しかし、陣営は諦めなかった。友道康夫調教師が「ディープ産駒らしくない」と評したその泥臭い根性こそが、最強の武器になると信じていたからだ。

嵐を呼んだ淀の奇跡

2022年大阪杯。淀のターフは現役最強馬エフフォーリアと、上がり馬ジャックドールの「2強」に沸いていた。ポタジェの名を呼ぶ者は少なかった。しかし、猛烈なハイペースが他の有力馬のスタミナを削る中、ただ一頭、ひたむきに前を追い続けた馬がいた。直線、力強く抜け出したポタジェ。追いすがるレイパパレを凌ぎきり、8番人気の評価を突き破って先頭でゴール板を駆け抜けた瞬間、静かなる伏兵は歴史に名を刻むチャンピオンとなった。

最後の一歩まで貫いた不屈

栄光の後は、険しい道が待っていた。連覇を狙った大阪杯での敗北、長期の休養。7歳を過ぎ、復帰を果たした舞台はダートだった。しかし、運命は残酷にも彼に「競走中止」という幕引きを強いた。船橋の砂の上で彼が見せた最後の一歩。それは、たとえ体が限界であっても、ゴールを目指そうとする不屈の魂そのものだった。引退後、種牡馬として新たな人生を歩み始めたポタジェ。彼が遺した、どんな逆境でも諦めない「勝負根性」は、次代の産駒たちに必ず受け継がれていくことだろう。

「勝負根性のすごい馬で、大阪杯も勝ってくれた。芝でもダートでも走れるような子どもを」
――友道康夫

24戦6勝。獲得賞金は3億円を超え、その数字以上に彼の走りは見る者の胸を打った。華やかな血統に生まれながら、誰よりも泥臭く、誰よりも粘り強く。ポタジェという名がターフから消えても、あの日、阪神競馬場に巻き起こった大波乱の主役としての輝きは、永遠に色褪せることはない。