ダノンザキッド:不屈の闘志で世界へ挑んだ2歳王者
Danon the Kid

The Resilient Danon the Kid

「無敗の王者」から、
「不屈の戦士」へ。

PROFILE

生誕2018.01.29
調教師安田隆行 (栗東)
主戦騎手川田将雅 / 北村友一
通算成績19戦3勝 [3-2-5-9]
主な勝鞍 ホープフルステークス (G1)
東京スポーツ杯2歳S (G3)
マイルCS (G1) 2着
香港カップ (G1) 2着、大阪杯 (G1) 3着

PEDIGREE

FATHER
ジャスタウェイ
(日本) 2009
ハーツクライ
シビル
×
MOTHER
エピックラヴ
(フランス) 2008
Dansili
Leopard Hunt

父は世界1位に輝いたジャスタウェイ、母はフランスの重賞馬。ハーツクライ×Danzig系の相性の良さを証明し、父に初のG1タイトルを捧げた。持続的な末脚と恵まれた馬格は、まさに世界基準の結晶と言える。

CAREER RECORD

全レース成績

TOTAL: 19 RUNS 3 - 2 - 5 - 9
DATERACE NAMECOURSE / DIST.JOCKEYRESULT
2023.12.10香港マイル (G1)海外 / 芝1600m北村友一12th
2023.11.19マイルCS (G1)京都 / 芝1600m北村友一5th
2023.06.25宝塚記念 (G1)阪神 / 芝2200m北村友一13th
2023.04.30QE2世C (G1)海外 / 芝2000mC.ホー5th
2023.04.02大阪杯 (G1)阪神 / 芝2000m横山和生3rd
2023.02.26中山記念 (G2)中山 / 芝1800m北村友一11th
2022.12.11香港カップ (G1)海外 / 芝2000m北村友一2nd
2022.11.20マイルCS (G1)阪神 / 芝1600m北村友一2nd
2022.10.09毎日王冠 (G2)東京 / 芝1800m戸崎圭太3rd
2022.08.14関屋記念 (G3)新潟 / 芝1600m川田将雅3rd
2022.06.05安田記念 (G1)東京 / 芝1600m川田将雅6th
2022.02.27中山記念 (G2)中山 / 芝1800m川田将雅7th
2021.11.21マイルCS (G1)阪神 / 芝1600m川田将雅3rd
2021.10.23富士S (G2)東京 / 芝1600m川田将雅4th
2021.04.18皐月賞 (G1)中山 / 芝2000m川田将雅15th
2021.03.07弥生賞 (G2)中山 / 芝2000m川田将雅3rd
2020.12.26ホープフルS (G1)中山 / 芝2000m川田将雅1st
2020.11.23東京スポーツ杯2歳S (G3)東京 / 芝1800m川田将雅1st
2020.06.282歳新馬阪神 / 芝1800m北村友一1st
CAREER HIGHLIGHTS

不屈の咆哮

01
Hopeful Stakes
5-10
2020.12.26 / 中山 2000m

THE EMERGENCE

第37回 ホープフルステークス

無傷の2連勝で挑んだ頂上決戦。直線、力強く抜け出し世代最初の王座に就く。 ゴール後、主戦・川田将雅の目には涙があった。 師匠・安田隆行調教師へ捧げた、魂のG1初制覇。 ジャスタウェイ産駒の歴史が、ここから塗り替えられた。

TIME
2:02.8
TITLE
2YO CHAMP
02
Satsuki Sho
8
2021.04.18 / 中山 2000m

DARK DAYS

第81回 皐月賞

1番人気、単勝3.3倍。しかし「怪物」を襲ったのは目に見えない疲労だった。 4コーナーで手応えを失い、ズルズルと後退していく衝撃の光景。 まさかの15着。栄光から一転、苦難の時が始まった。 この敗北は、その後の彼を強く、そして逞しく変えていくことになる。

1着 エフフォーリア 15着 ダノンザキッド
03
Mile Championship
2-3
2022.11.20 / 阪神 1600m

REBORN SPIRIT

第39回 マイルチャンピオンシップ

北村友一との新コンビで挑んだ秋のマイル頂上決戦。 かつての輝きを取り戻したかのように、直線で鋭い伸びを見せる。 勝ち馬には届かなかったが、堂々の2着。 「ダノンザキッドは終わっていない」。その咆哮が、秋の阪神に響き渡った。

ODDS
8th Pop
RESULT
2nd
04
Hong Kong Cup
2
2022.12.11 / シャティン 2000m

BEYOND BORDERS

香港カップ

海を越え、香港の地へ。世界の強豪がひしめく中、日本馬最先着の2着。 アウェーの環境、厳しい検疫を乗り越え、彼は「世界のキッド」へと進化した。 勝ちきれないもどかしさを抱えながらも、常に一線級で戦い続ける。 その姿は、多くのファンに勇気を与えた。

1着 ロマンチックウォリアー 2着 ダノンザキッド
DATA ANALYTICS

一線級での
不屈の走破性

2歳王者の称号に甘んじることなく、彼はシニア世代になってもハイレベルな戦いを続けた。 特筆すべきはG1における掲示板確保率の高さである。 マイルから中距離、さらには海外遠征。環境を問わず能力を発揮し続けたそのタフネスは、 ハーツクライからジャスタウェイへと受け継がれた「成長と持続」の血の証明である。

4.60B

TOTAL EARNINGS

約4億6000万円

※国内外合計獲得賞金

G1 PERFORMANCE

大舞台での安定感
G1 VICTORIES 1 WIN
HOPEFUL S
G1 PODIUMS (2nd-3rd) 4 TIMES
TOP 3 CONSISTENCY
G1 TOP 5 FINISHES 7 TIMES
HIGH LEVEL PERFORMANCE
世代王者の誇り
THE KID
師匠の管理馬でG1を勝つことは、
私の長年の夢でした。
主戦騎手 川田将雅
ホープフルS 勝利インタビューにて
この馬の能力は、まだこんなものではない。
いつか必ず、また頂点へ。
調教師 安田隆行
不調期を支えた言葉
FAN VOICES

ファンからの声

S

皐月賞後の長いトンネル。諦めかけていたけど、あのマイルCSでの激走を見て涙が出ました。 泥臭く、何度でも立ち上がるキッドが大好きです。

H

父ジャスタウェイの念願だったG1勝利。それを息子が叶えてくれた。 川田騎手の涙、テレビの前で一緒に泣きました。最高の瞬間でした。

Y

現役生活お疲れ様。次は種牡馬として、君のように強くてタフな子供たちを見せてください。 北海道まで会いに行きます!

BEHIND THE SCENES

秘蔵エピソード

苦難を乗り越えた王者の、知られざる横顔

01

師弟の絆を繋いだ一冠

川田将雅騎手にとって、安田隆行調教師は自らを育ててくれた師匠。かつて師匠の馬でミスをし、涙した過去があった。 「先生に恩返しを」。その一心で掴んだホープフルSの勝利。 検量室に戻った際の二人の固い握手は、競馬史に残る美しき師弟愛の光景だった。

02

中山の「記憶」

ホープフルSで頂点に立った中山競馬場。しかし後の皐月賞での大敗以降、ゲートを嫌がる仕草を見せるなど、繊細な一面も。 「中山に嫌な記憶があるのかもしれない」と囁かれたが、それは彼が全力で走り、 深く傷ついた証でもあった。その繊細さが、後の粘り強い走りに繋がっていった。

Efforia
THE ARCHRIVAL
DESTINY

EFFORIA

エフフォーリア

2018年に生まれた同世代。ダノンザキッドが2歳王者として君臨していたとき、 静かに牙を研いでいたのがエフフォーリアだった。

2021年、皐月賞。圧倒的な1番人気に推されたキッドを尻目に、 エフフォーリアは鮮烈な末脚で突き抜けた。この一戦を境に、世代の主役は入れ替わってしまう。

華やかな表舞台を歩んだライバルと、泥臭く復活を期したキッド。 対照的な道を歩んだ二頭だったが、共に2020年代初頭の競馬界を熱く盛り上げた。 キッドにとってエフフォーリアは、超えなければならない、しかし手が届かない「宿命」の存在だった。

2021 皐月賞
15th ダノンザキッド
vs
1st エフフォーリア

未完の天才、不屈の夢

未完の天才、不屈の夢

サラブレッドの宿命は、常に勝利という二文字で測られる。 しかし、ダノンザキッドという馬が歩んだ19戦の道のりは、 勝敗の数だけでは語り尽くせない、濃厚な人間模様とドラマに彩られていた。 1億800万円という期待を背負って生まれた少年は、 瞬く間に「2歳王者」という肩書きを手に入れ、バラ色の未来を約束されたはずだった。

あまりにも深い、挫折の谷

絶頂は一瞬だった。3歳春、単勝1.3倍の弥生賞での敗北。 そして、1番人気で挑んだ皐月賞での15着大敗。 「何が原因か分からない」。主戦・川田将雅の困惑と、陣営の落胆。 追い打ちをかけるような骨折の判明。 世間は彼を「早熟だった」と切り捨て、新たなスターへと目を向けていった。 しかし、ここからが「ダノンザキッド」という物語の真骨頂だった。

「終わった馬」への反旗

長い休養、そして復帰後の勝ちきれない日々。 それでも、彼は走り続けた。マイル、2000m、そして海を越えた香港。 鞍上が北村友一に代わっても、その力強いフットワークは失われなかった。 2022年のマイルCS。8番人気の低評価を覆し、2着に突っ込んできた姿に、 多くのファンはかつての王者の誇りを見た。 彼は「終わった」のではなく、戦うたびにその魂を研ぎ澄ませていたのだ。

最後に見た、世界という地平

シニア世代となってからの彼は、もはや勝つこと以上に、 そこに「存在し続けること」の難しさと尊さを体現していた。 ゲート前でのアクシデントや、中山でのトラウマと戦いながらも、 G1の舞台になれば必ず掲示板に名を連ねる。 香港カップでの2着、大阪杯での3着。 あと数センチ、あと数秒で掴み損ねた栄冠。 しかし、その「惜敗」の積み重ねこそが、彼の誠実な走りの証だった。

「能力は出している。でも、あと一歩。それがこの馬の愛すべきところでもある」
――競馬関係者の言葉より

2023年12月。香港マイル。12着という結果で、彼はターフを去った。 通算19戦3勝。数字だけを見れば、2歳時の輝きが最大のピークだったかもしれない。 しかし、挫折から立ち上がり、世界を相手に戦い抜いた彼の足跡は、 いつまでも私たちの記憶に残り続ける。 天才として生まれ、不屈の戦士として走り抜いたダノンザキッド。 その熱き魂は、今、種牡馬として次世代へと受け継がれていく。