アドマイヤマーズ:世界を射抜いた情熱の弾丸
Admire Mars

The Iron Horse Admire Mars

その速さは、
国境すらも追い越した。

PROFILE

生誕2016.03.16
調教師友道康夫 (栗東)
主戦騎手M.デムーロ
通算成績13戦6勝 [6-1-2-4]
主な勝鞍 香港マイル (G1)
NHKマイルカップ (G1)
朝日杯フューチュリティS (G1)
デイリー杯2歳S (G2)

PEDIGREE

FATHER
ダイワメジャー
(日本) 2001
サンデーサイレンス
スカーレットブーケ
×
MOTHER
ヴィアメディチ
(フランス) 2007
Medicean
Via Milano

父はマイルG1を3勝した「不倒の鉄人」、母はフランスの重賞馬という国際色豊かな配合。父譲りの勝負根性とスピード、そして母系から受け継いだタフな精神力が、世界最高峰のマイル戦を勝ち抜く源泉となった。

CAREER RECORD

全レース成績

TOTAL: 13 RUNS 6 - 1 - 2 - 4
DATERACE NAMECOURSE / DIST.JOCKEYRESULT
2020.12.13香港マイル (G1)沙田 / 芝1600mR.ムーア3rd
2020.11.22マイルCS (G1)阪神 / 芝1600m川田将雅3rd
2020.10.31スワンS (G2)京都 / 芝1400m川田将雅3rd
2020.06.07安田記念 (G1)東京 / 芝1600m川田将雅6th
2019.12.08香港マイル (G1)沙田 / 芝1600mC.スミヨン1st
2019.10.19富士S (G3)東京 / 芝1600mM.デムーロ9th
2019.05.05NHKマイルカップ (G1)東京 / 芝1600mM.デムーロ1st
2019.04.14皐月賞 (G1)中山 / 芝2000mM.デムーロ4th
2019.02.10共同通信杯 (G3)東京 / 芝1800mM.デムーロ2nd
2018.12.16朝日杯フューチュリティS (G1)阪神 / 芝1600mM.デムーロ1st
2018.11.10デイリー杯2歳S (G2)京都 / 芝1600mM.デムーロ1st
2018.07.21中京2歳S (OP)中京 / 芝1600mM.デムーロ1st
2018.06.302歳新馬中京 / 芝1600mM.デムーロ1st
CAREER HIGHLIGHTS

不屈の証明

01
Asahi Hai FS
4-6
2018.12.16 / 阪神 1600m

UNBEATEN KING

第70回 朝日杯フューチュリティS

無敗の3連勝で挑んだ2歳王者決定戦。1番人気の怪物牝馬グランアレグリアを真っ向勝負で競り落とし、完璧な立ち回りで頂点に立った。ダイワメジャーの血が騒ぐ、力強い押し切り。誰もが「マイルの主役」の誕生を確信した瞬間だった。

TIME
1:33.9
RESULT
4-0-0
02
NHK Mile Cup
17
2019.05.05 / 東京 1600m

MAILE MASTER

第24回 NHKマイルカップ

「令和」最初のG1。再び相まみえた宿敵グランアレグリア。33秒9という高速ラップを刻む過酷な流れの中、直線を力強く駆け上がった。外から襲いかかるライバルたちを撥ね退けるその姿は、まさにマイルの絶対王者。世代最強の座を揺るぎないものにした。

1着 アドマイヤマーズ 2着 ケイデンスコール
03
Hong Kong Mile
9
2019.12.08 / 沙田 1600m

GLOBAL HERO

香港マイル

亡き近藤オーナーに捧げる、魂の激走。3歳馬には極めて高い壁とされる香港の地で、世界最強のマイラーたちを相手に真っ向からぶつかり合った。スミヨン騎手の叱咤に応え、最後の一完歩で抜け出す。日本馬初の3歳制覇という歴史的偉業を成し遂げた。

PRIZE
14.25M
RANK
WORLD
04
Mile Championship
2
2020.11.22 / 阪神 1600m

LAST PRIDE

第37回 マイルチャンピオンシップ

4歳秋、円熟味を増した闘志で挑んだ一戦。伝説的な強さを誇ったグランアレグリア、インディチャンプを相手に、最後まで一歩も引かない先行策。結果は3着。しかし、世界を制した王者の誇りを汚さぬその走りは、多くのファンの心に深く刻まれた。

1着 グランアレグリア 3着 アドマイヤマーズ
DATA ANALYTICS

驚異の
高速ラップ

2019年のNHKマイルカップ。前半3ハロン33秒9、1000m通過56秒7という地獄のようなハイペース。この過酷な流れを先行しながら、上がり3ハロンを33秒9でまとめたその持続力は、マイルというカテゴリーにおける究極のスピード性能を証明している。父ダイワメジャーをも凌ぐと言われた、圧倒的な巡航速度である。

1:32.4

NHK MILE CUP TIME

1600m 走破時計

※2019 NHKマイルC

SPEED ENDURANCE

持続する圧倒的速力
AVERAGE WINNING TIME 1:33.1
AVERAGE ZONE
ADMIRE MARS (2019) 1:32.4
SUPERIOR ZONE
FIRST 600M SPLIT 33.9s
ULTRA FAST
前半3F通過タイム
ADMIRE MARS
愛してます。大好きな馬です。
気持ちいい。最高にスッキリしました。
主戦騎手 M.デムーロ
NHKマイルC 勝利後インタビュー
世界のマイル王を目指して頑張ります。
オーナーに良い報告ができます。
調教師 友道康夫
香港マイル 優勝会見にて
FAN VOICES

ファンからの声

S

香港の直線、スミヨンの檄に応えて伸びてきた姿に涙が止まりませんでした。近藤オーナーが天国で喜んでいる姿が目に浮かびます。これぞアドマイヤの根性。

R

不振に苦しんでいたデムーロ騎手が、この馬と共にG1を勝って叫んだあの瞬間。令和最初のG1にふさわしい、最高に熱い勝利でした!

Y

ダイワメジャーの最高傑作。どんなに速い流れでもへこたれない精神力と持続力は、今の日本のマイラーに必要な資質のすべてを体現していました。

BEHIND THE SCENES

秘蔵エピソード

その闘志の裏側にあった、絆と執念の物語

01

亡き主への供養スーツ

香港マイルの日、友道調教師は特別な装いで競馬場に現れた。それは、直前に急逝した馬主・近藤利一氏が観戦時に着るはずだったスーツ。師はオーナーの遺志を文字通り背負って異国の地へ乗り込んだ。優勝した瞬間、何度も抱き合い流した涙には、一言では語り尽くせない想いが詰まっていた。

02

CWコースの秘密

通常、短距離馬は坂路での瞬発力強化を優先するが、友道調教師はアドマイヤマーズにあえて広いCWコース(ウッドチップ)での長めからの調教を課した。これによりピッチ走法になりがちな弱点を克服し、大きな完歩での巡航能力を引き出すことに成功した。この工夫が、世界を制するスピード持続力の源となった。

Gran Alegria
THE ARCHRIVAL
DESTINY

GRAN ALEGRIA

グランアレグリア

アドマイヤマーズの輝かしいキャリアを語る際、隣には常に「絶対女王」の影があった。2歳冬、NHKマイルC、安田記念、マイルCS。幾度となく刃を交えた宿命のライバル。

朝日杯とNHKマイルCではアドマイヤマーズが勝負強さで女王を封じ込め、古馬となってからは女王が圧倒的な切れ味でリベンジを果たした。互いの限界を引き出し合ったこの二頭の激突は、2010年代後半から2020年代初頭のマイル戦線を、日本競馬史上最もハイレベルな黄金時代へと押し上げたのである。

2019NHK MILE CUP
1stアドマイヤマーズ
vs
5thグランアレグリア

世界を射抜いた弾丸

世界を射抜いた弾丸

競馬の歴史において、父の背中を追うことは時に呪縛となり、時に誇りとなる。アドマイヤマーズにとって、父ダイワメジャーは超えるべき巨大な壁であり、その血は彼の中に「負けない心」を植え付けた。栗毛の馬体を躍動させ、マイルの直線で誰よりも先に抜け出すその姿は、かつて府中や阪神を沸かせた父の生き写しだった。

無敗の王者が背負った使命

デビューから無傷の4連勝。朝日杯FSでグランアレグリアを退けた時、彼は単なる「期待馬」から「世代の象徴」へと昇華した。しかし、3歳春のクラシック戦線では2000mの壁に苦しみ、一度は頂点から遠ざかりかける。そこで陣営が下した決断は、迷いなきマイルへの回帰だった。NHKマイルC。前半から激しく流れる展開の中で、彼は誰よりも冷静に、そして誰よりも熱く、東京の長い直線を駆け抜けた。ゴール後のミルコ・デムーロの咆哮は、不振に喘いでいた相棒への、そして自身への最高の賛歌だった。

海を越えた魂の継承

最大のドラマは、香港・シャティン競馬場で待っていた。愛してくれた近藤オーナーの急逝。悲しみに包まれるチームの中で、アドマイヤマーズだけは毅然としていた。アウェーの地、世界の名馬が揃う香港マイル。ゲートが開くと、そこには「強いアドマイヤ」を世界に見せつけようとする意志そのものが走っていた。スミヨンの鞭に応え、猛烈な末脚で香港の英雄ビューティージェネレーションを飲み込んだ瞬間、海を越えて日本の競馬ファンの魂が一つになった。友道調教師が着ていたオーナーのスーツは、歓喜の涙で濡れていた。

鉄人の血は次代へ

その後、古馬となってからも彼は走り続けた。女王グランアレグリアの猛追に屈した日もあった。しかし、その敗北ですら彼の価値を損なうものではなかった。どんなペースでも前を追い、どんな苦境でも脚を伸ばす。その「折れない心」こそがアドマイヤマーズの真骨頂であり、彼が愛された理由だった。通算13戦。その戦いの記録は、単なる数字の羅列ではない。一頭の馬と、それに関わる人々が紡いだ、情熱と執念の結晶である。

「けがをすることもなく丈夫な馬で、その丈夫さが子供たちにも遺伝してほしい」
――友道康夫

いま、彼の血は種牡馬として次代へと受け継がれている。かつて彼が切り裂いたシャティンの風は、いまその産駒たちの翼となって、再び世界へと羽ばたこうとしている。私たちは忘れない。異国の空の下、誰よりも力強く、誰よりも美しく、勝利の雄叫びを上げた情熱の弾丸、アドマイヤマーズの名前を。