芦毛の馬体が西日に光る。その姿を目にするたび、ファンは「今日は何を見せてくれるのか」と胸を躍らせる。ガイアフォース。ギリシャ神話の地母神の名を冠したこの馬は、日本競馬の常識を心地よく裏切り続けてきた。
衝撃のレコードと、苦悩の秋
デビュー戦でドウデュースと死闘を演じ、夏の小倉で驚愕のレコードを叩き出したとき、誰もが彼の王道を確信した。しかし、セントライト記念で重賞馬となった後の菊花賞での失速。そこから彼は「予測不能な謎の馬」と呼ばれるようになる。勝つときは圧倒的に、負けるときは不可解に。その危うい魅力が、逆に彼の存在を際立たせていった。
砂の挑戦、そして魂の復活
誰もが驚いたダートG1への挑戦。フェブラリーステークスで砂を被りながら泥臭く伸びてきた2着は、彼の底知れぬポテンシャルを証明した。芝のスピードスターが、ダートの猛者たちを震え上がらせた瞬間。そして度重なる骨折。沈黙を破った2024年、富士ステークスでの復活勝利は、彼が単なる「不思議な馬」ではなく、不屈の魂を持つ「真の名馬」であることを物語っていた。
愛される「白大福」の誇り
「顔がかわいい」「白大福みたい」。そんな親しみやすい愛称とは裏腹に、彼は常に過酷な舞台で戦い続けてきた。G1勝利という最後の一欠片を求めて、何度も2着に泣きながらも、その走りに陰りはない。彼が走るたびに、競馬場は優しい熱狂に包まれる。
「ファンの多い馬ですから。期待に応えたい」
――杉山晴紀
その真っ白な馬体がゴール板を駆け抜けるとき、全てのファンが自身の夢を重ね合わせる。いつか、あのつぶらな瞳にG1の栄光が映るその日まで、ガイアフォースは自由奔放に、そして誰よりも熱くターフを駆け抜けていく。その歩みそのものが、一編のドラマなのだ。





