Gentildonna

The QueenGentildonna

「貴婦人」の名に秘めた、
猛き情熱と不屈の闘志。

PROFILE

生誕2009.02.20
調教師石坂正哉 (栗東)
主戦騎手岩田康誠 / R.ムーア
通算成績19戦10勝 [10-4-1-4]
主な勝鞍ジャパンカップ (G1) 2連覇
有馬記念 (G1)、ドバイシーマC (G1)
牝馬三冠 (桜花賞、オークス、秋華賞)
年度代表馬 (2012年、2014年)

PEDIGREE

FATHER
ディープインパクト
(日本) 2002
サンデーサイレンス
ウインドインハーヘア
×
MOTHER
ドナブリーニ
(英) 2003
Bertolini
Calnorma's Lady

父は日本競馬の至宝、母は英国の快速G1馬。究極のスピードと瞬発力を受け継ぎつつ、牝馬の枠を超えた強靭な筋肉と、並ぶものを決して許さない勝負根性を備えた「完璧なサラブレッド」として誕生した。

CAREER RECORD

全レース成績

TOTAL: 19 RUNS10 - 4 - 1 - 4
DATERACE NAMECOURSE / DIST.JOCKEYRESULT
2014.12.28有馬記念 (G1)中山 / 芝2500m戸崎圭太1st
2014.11.30ジャパンカップ (G1)東京 / 芝2400mR.ムーア4th
2014.11.02天皇賞・秋 (G1)東京 / 芝2000m戸崎圭太2nd
2014.06.29宝塚記念 (G1)阪神 / 芝2200m川田将雅9th
2014.03.29ドバイシーマC (G1)メイダン / 芝2410mR.ムーア1st
2014.02.16京都記念 (G2)京都 / 芝2200m福永祐一6th
2013.11.24ジャパンカップ (G1)東京 / 芝2400mR.ムーア1st
2013.10.27天皇賞・秋 (G1)東京 / 芝2000m岩田康誠2nd
2013.06.23宝塚記念 (G1)阪神 / 芝2200m岩田康誠3rd
2013.03.30ドバイシーマC (G1)メイダン / 芝2410m岩田康誠2nd
2012.11.25ジャパンカップ (G1)東京 / 芝2400m岩田康誠1st
2012.10.14秋華賞 (G1)京都 / 芝2000m岩田康誠1st
2012.09.16ローズS (G2)阪神 / 芝1800m岩田康誠1st
2012.05.20優駿牝馬 (G1)東京 / 芝2400m川田将雅1st
2012.04.08桜花賞 (G1)阪神 / 芝1600m岩田康誠1st
2012.03.03チューリップ賞 (G3)阪神 / 芝1600m岩田康誠4th
2012.01.08シンザン記念 (G3)京都 / 芝1600mC.ルメール1st
2011.12.102歳未勝利阪神 / 芝1600mI.メンディザバル1st
2011.11.192歳新馬京都 / 芝1600mM.デムーロ2nd
CAREER HIGHLIGHTS

女王の証明

01
Shuka Sho
7-14
2012.10.14 / 京都 2000m

TRIPLE CROWN

第17回 秋華賞

宿命のライバル、ヴィルシーナとの4度目の決戦。最後の直線、並びかける2頭の鼻面は一歩も譲らない。わずか7センチの差。その執念が、史上4頭目の牝馬三冠という栄光を彼女に手繰り寄せた。貴婦人が「女王」へと即位した歴史的一戦。

MARGIN
NOSE
RANKING
3rd CROWN
02
Japan Cup
15
2012.11.25 / 東京 2400m

IRON WILL

第32回 ジャパンカップ

三冠馬オルフェーヴルとの、震えるような叩き合い。3歳牝馬の身でありながら、最強の牡馬を相手に一歩も引かず体をぶつけ合うその姿に、日本中が息を呑んだ。20分間の審議を経て確定した勝利は、彼女の不屈の闘争心を世界に知らしめた。

1着 ジェンティルドンナ2着 オルフェーヴル
03
Dubai Sheema Classic
12
2014.03.29 / メイダン 2410m

WORLD DOMINANCE

ドバイシーマクラシック

前年の雪辱を果たすべく降り立ったドバイ。直線で前を塞がれる絶望的な状況を、自らの力でこじ開けた。名手ムーアを背に、フランスの王者シルスデエグルを競り落としたその脚。世界の頂点でも、彼女の「ハート」は誰よりも強かった。

GRADE
INT G1
RESULT
VICTORY
04
Arima Kinen
4
2014.12.28 / 中山 2500m

LAST MAJESTY

第59回 有馬記念

初めての中山、距離への不安、そして引退レース。全ての懐疑論を彼女は力でねじ伏せた。完璧な立ち回りから抜け出し、迫る後続を突き放す。4万人の喝采に包まれ、稀代の名牝は最高の輝きを残してその競走生活に幕を下ろした。

1着 ジェンティルドンナ2着 トゥザワールド
DATA ANALYTICS

伝説を支えた
不変の勝負根性

ジェンティルドンナの強さは、タイム以上に「接戦での勝負強さ」に集約される。ヴィルシーナとの激闘、オルフェーヴルとの競り合い。彼女がG1で見せた着差は、時にわずか数センチだった。しかし、その「わずかな差」を絶対に譲らない精神力こそが、彼女を史上最強の牝馬たらしめた最大の特徴である。

G1-7WINS

TITLES HELD

G1 通算7勝

※日本馬歴代最多タイ(当時)

RIVALRY GAP

ライバルとの着差比較
SHUKA SHO (vs VERXINA)0.0s
7cm MARGIN
JAPAN CUP (vs ORFEVRE)0.0s
NOSE GAP
DUBAI SC (vs CIRRUS DES AIGLES)0.2s
WORLD BEATER
勝利の執念
GENTILDONNA
直線で少し詰まったが、
彼女を外へ出すと非常に加速した。本当に強い心を持っている。
騎手 R.ムーア
ドバイシーマC優勝後にて
この週はジャパンカップ。有馬が近づくたびに彼女を思う。
悔いと、悲しみしかない。
調教師 石坂正哉
2025年 逝去時のコメント
FAN VOICES

ファンからの声

G

オルフェーヴルを弾き飛ばして突き抜けたあの瞬間の衝撃。あんなに逞しくて恐ろしいほど強い女の子は後にも先にも彼女だけです。震えました。

S

ドバイでのムーア騎手とのコンビは完璧でした。世界の強豪を力でねじ伏せる姿は、まさに日本の、そして世界の「貴婦人」でした。

R

引退レースの有馬記念。中山の坂を力強く駆け上がって一気に先頭に立った時、涙が止まりませんでした。最高の幕引きをありがとう。

BEHIND THE SCENES

秘蔵エピソード

女王として君臨した彼女の、強靭さと母性の裏側

01

「ゴリラ」と呼ばれた美しき筋肉

その並外れた馬格と強靭な筋肉から、ファンは親しみを込めて「ゴリラ」と呼んだ。460kgを超える馬体は、大型の牡馬とぶつかっても決して負けることがなかった。石坂調教師が「毎回勝つために調教した」と語る通り、彼女の美しさは、戦うために研ぎ澄まされた機能美そのものだった。

02

受け継がれる「最強の母性」

引退後、母となった彼女は驚くほど過保護だったという。自分の子供に他の馬が近づくことを決して許さず、勝気な性格を剥き出しにして守り抜いた。その強烈な愛情は、娘ジェラルディナへと受け継がれ、親子二代でのG1制覇という新たな伝説を結実させたのである。

Verxina
THE ETERNAL RIVAL
DESTINY

VERXINA

ヴィルシーナ

ジェンティルドンナの影には、常に彼女の存在があった。2012年の牝馬三冠、その全てで2着に敗れたヴィルシーナ。その差は首、5馬身、そして鼻。

ヴィルシーナがいなければ、ジェンティルドンナはこれほどまでに高く飛ぶことはできなかっただろう。最強の敗者がいたからこそ、最強の勝者が完成した。後にヴィルシーナもG1を連覇し、自らの価値を証明したことで、この二頭のライバル関係は「史上最高レベルの世代」として語り継がれている。

2012牝馬三冠路線
1stジェンティルドンナ
vs
2ndヴィルシーナ

鋼の意志を持つ貴婦人

鋼の意志を持つ貴婦人

「貴婦人」という名を与えられた彼女の走りは、決して優雅なだけではなかった。それは、時に泥にまみれ、時に激しく火花を散らす、剥き出しの闘争心の記録である。ディープインパクトが残した最高傑作の一頭として、彼女は日本競馬が世界へと羽ばたく瞬間の、確かな翼となった。

三冠、そしてオルフェーヴルとの激闘

2012年、彼女は同世代の牝馬たちをなぎ倒し、史上4頭目の三冠牝馬となった。しかし、その輝きが本物であることを証明したのは、その直後のジャパンカップだった。時の最強馬オルフェーヴルを相手に、最後の直線で1センチも引かずに体をぶつけ合ったあの姿。3歳牝馬の枠に収まりきらない「怪物」の片鱗を、私たちはあのとき目撃したのだ。審議のランプが点灯し、20分という永遠のような時間。確定の瞬間、彼女はただの牝馬ではなく、日本競馬の象徴となった。

世界を震わせた「ハート」

ドバイの地で彼女が見せた加速は、異国の競馬ファンをも驚愕させた。前年、2着に敗れた悔しさを胸に挑んだ2度目のドバイ。直線で壁に突き当たりながらも、そこから自力で活路を見出す精神力。ライアン・ムーアをして「とてつもない心を持っている」と言わしめたその精神性は、彼女を「美しき猛女」と定義するに十分だった。勝つために生まれ、勝つために走り続ける。その純粋な意志が、メイダンの夜空に日本の誇りを刻み込んだ。

永遠に語り継がれる女王

2014年、有馬記念。完璧なカーテンコールを経て彼女はターフを去った。19戦10勝、G1通算7勝。その数字以上に、彼女が私たちに見せてくれたのは「諦めないこと」の美しさだった。2025年、16歳でこの世を去ったとき、石坂調教師は「悔いと悲しみしかない」と語った。それは、あまりにも多くの感動をくれた名牝への、偽らざる愛情だったのだろう。私たちは忘れない。黒い覆面の奥に宿る、決して消えることのない猛き炎を。ジェンティルドンナ。彼女こそが、日本競馬史に咲いた、最も気高く、最も強い一輪の薔薇であった。

「彼女の心は、誰よりも強かった。」
―― ターフを去った女王に捧ぐ

彼女が駆け抜けた2010年代は、彼女の蹄音とともに記憶されるだろう。今、空の上で父やライバルたちと自由に駆けているであろう彼女に、心からの感謝を込めて。かつて、この地に鋼の意志を持った貴婦人がいたことを、私たちは語り継いでいく。