Maurice

The Beast Maurice

その強さ、
国境を越えて轟く。

PROFILE

生誕2011.03.02
調教師堀宣行 (美浦)
主戦騎手R.ムーア
通算成績18戦11勝 [11-2-1-4]
主な勝鞍 香港カップ (G1)
天皇賞・秋 (G1)、安田記念 (G1)
香港マイル (G1)、マイルCS (G1)
チャンピオンズマイル (G1)

PEDIGREE

FATHER
スクリーンヒーロー
(日本) 2004
グラスワンダー
ランニングヒロイン
×
MOTHER
メジロフランシス
(日本) 2001
カーネギー
メジロモントレー

父はジャパンCを制したロベルト系の雄、母は名門メジロ牧場の貴重な血脈。 雑草魂とも言える父の爆発力と、母系の底力が融合。遅咲きながらも、一度開花すると手がつけられない「怪物」が誕生した。

CAREER RECORD

全レース成績

TOTAL: 18 RUNS 11 - 2 - 1 - 4
DATERACE NAMECOURSE / DIST.JOCKEYRESULT
2016.12.11香港カップ (G1)シャティン / 芝2000mR.ムーア1st
2016.10.30天皇賞・秋 (G1)東京 / 芝2000mR.ムーア1st
2016.08.21札幌記念 (G2)札幌 / 芝2000mJ.モレイラ2nd
2016.06.05安田記念 (G1)東京 / 芝1600mT.ベリー2nd
2016.05.01チャンピオンズM (G1)シャティン / 芝1600mJ.モレイラ1st
2015.12.13香港マイル (G1)シャティン / 芝1600mR.ムーア1st
2015.11.22マイルCS (G1)京都 / 芝1600mR.ムーア1st
2015.06.07安田記念 (G1)東京 / 芝1600m川田将雅1st
2015.04.05ダービー卿CT (G3)中山 / 芝1600m戸崎圭太1st
2015.03.07スピカS (1600万下)中山 / 芝1800m戸崎圭太1st
2015.01.25若潮賞 (1000万下)中山 / 芝1600mT.ベリー1st
2014.05.31白百合S (OP)京都 / 芝1800m浜中俊3rd
2014.05.10京都新聞杯 (G2)京都 / 芝2200m川田将雅7th
2014.03.23スプリングS (G2)中山 / 芝1800m川田将雅4th
2014.01.12シンザン記念 (G3)京都 / 芝1600m内田博幸5th
2013.12.23万両賞 (500万下)阪神 / 芝1400m川田将雅1st
2013.11.09京王杯2歳S (G2)東京 / 芝1400mR.ムーア6th
2013.10.062歳新馬京都 / 芝1400m内田博幸1st
CAREER HIGHLIGHTS

怪物の証明

01
Yasuda Kinen
3-6
2015.06.07 / 東京 1600m

THE AWAKENING

第65回 安田記念

条件戦から4連勝で挑んだ初のG1舞台。 直線、馬場の真ん中から堂々と抜け出すと、追いすがるヴァンセンヌをクビ差封じ込める。 3歳時の不振が嘘のような力強い走り。 遅れてきた大器が、ついに「怪物」として覚醒した瞬間だった。

TIME
1:32.0
LAST 3F
34.5
02
Hong Kong Mile
2
2015.12.13 / シャティン 1600m

ASIA'S KING

香港マイル

春秋マイル王として挑んだ初海外。 相手は香港最強馬エイブルフレンド。完全アウェイの地で、名手R.ムーアに導かれた彼は横綱相撲を見せる。 外から力強く差し切り、アジアのマイル界を完全制圧。その名は世界へと轟いた。

1着 モーリス 2着 ジャイアントトレジャー
03
Hong Kong Cup
1
2016.12.11 / シャティン 2000m

THE FINAL ACT

香港カップ

引退レース。2000mへの距離不安説をあざ笑うかのような圧勝劇だった。 スタートで出遅れるも、ムーア騎手は慌てず後方待機。 直線、解き放たれた矢のように加速すると、後続を3馬身突き放した。 マイルも中距離も制圧し、彼は伝説となってターフを去った。

TIME
2:00.95
G1 WINS
6
DATA ANALYTICS

圧倒的な
パフォーマンス

2015年、モーリスは無敵だった。条件戦からのスタートながら、破竹の勢いでG1戦線へ殴り込みをかけると、安田記念、マイルCS、香港マイルとG1を3連勝。 年間6戦6勝、勝率100%。 その走りは着差以上の絶望感をライバルに与え、満票に近い支持を得て年度代表馬の座を射止めた。 日本競馬史上、これほど完璧な「覚醒」を見せた馬は他にいない。

100%

WIN RATE

年間勝率 (2015)

※6戦6勝 G1・3勝

VICTORY MARGIN

他を圧倒した着差
DERBY LORD CT 3.5L
OVERWHELMING
HONG KONG CUP 3.0L
LAST RUN
CHAMPIONS MILE 2.0L
EASY WIN
2着馬との着差 (馬身)
MAURICE
モーリスが競走馬として完成する前に
引退することは申し訳ない。
調教師 堀宣行
引退に際して
彼は聡明で、精神的なゆとりがある。
人間とユーモアを交えて付き合う「いいヤツ」だ。
吉田勝己
ノーザンファーム代表
FAN VOICES

ファンからの声

S

ダービー卿CTの衝撃。直線入り口では絶望的な位置だったのに、 一瞬で他馬を置き去りにしたあの脚。あの日、伝説が始まると確信しました。

K

日本の馬が香港でこれほど愛されるなんて。 シャティン競馬場で見たラストラン、圧巻の強さに言葉を失いました。Thank you, Maurice.

Y

2000mは長いと言われていた天皇賞秋。 それを実力だけでねじ伏せた。距離適性すら超越する、本物の怪物の姿を見せてもらいました。

BEHIND THE SCENES

秘蔵エピソード

怪物と呼ばれた彼に見え隠れした、知性と人間味

01

ニヒルな笑み

引退レースとなった香港カップ。圧勝で有終の美を飾った直後、 関係者はモーリスの奇妙な表情を目撃している。 吉田勝己氏によると、彼は「ニヒルな薄笑いを浮かべていた」という。 すべてをやり遂げた満足感か、それとも人間たちの熱狂を冷静に見透かしていたのか。 その表情は、彼の並外れた知性を物語っていた。

02

「いいヤツ」な怪物

多くの名馬が持つような「近寄りがたい威圧感」や「頑固さ」が、彼にはなかった。 人間に対して常に友好的で、ユーモアさえ解するかのような振る舞いを見せたという。 レースでは他馬を威圧する「Beast(野獣)」と化すが、 馬房では誰もが認める「Nice Guy(いいヤツ)」。 そのギャップもまた、関係者に深く愛された理由だった。

Kitasan Black
THE LEGEND
SAME ERA

KITASAN BLACK

キタサンブラック

2015年、モーリスが覚醒しマイル界を制圧した同じ頃、 一頭の若駒が菊花賞を制し、スターへの階段を上り始めていた。

キタサンブラック。1歳年下の彼は、デビューから着実に力をつけ、 やがて王道の中長距離路線で時代を築くことになる。 直接対決こそ叶わなかったが、2015年の年度代表馬を争い、 翌2016年には共に日本競馬を牽引した「二大巨頭」である。

遅咲きの怪物モーリスと、叩き上げのスター・キタサンブラック。 異なる道を歩んだ二頭の名馬が、黄金時代を鮮やかに彩った。

2015 JRA賞 年度代表馬
Winner モーリス
vs
Candidate キタサンブラック

未完の怪物

未完の怪物

その馬は、あまりにも遅く現れ、そしてあまりにも早く去っていった。 モーリス。デビュー当初は目立つ存在ではなかった彼が、 わずか2年弱で世界の競馬シーンを塗り替えてしまうとは、誰が想像しただろうか。 3歳時の苦悩、重賞での連敗。そこには「怪物」の片鱗はまだ見えていなかった。

眠れる獅子の目覚め

転機は4歳の春。環境の変化と休養を経て、彼は変貌を遂げた。 条件戦から始まった連勝街道。ダービー卿チャレンジトロフィーで見せた、 異次元の末脚は、もはや国内の枠に収まる器ではないことを告げていた。 安田記念でのG1初制覇、マイルチャンピオンシップでの春秋統一。 そして香港マイルでの圧倒的な勝利。 「アジアのマイル王」という称号は、彼のために用意された玉座だった。

距離の壁を超えて

マイル戦では敵なしとなった彼に、新たな挑戦が課された。 2000mという未知の領域。スタミナへの不安が囁かれる中、彼は天皇賞・秋で回答を示した。 R.ムーア騎手に導かれ、直線で堂々と抜け出すその姿に、距離の限界など存在しなかった。 続く引退レース、香港カップ。 出遅れすらハンデにならない圧巻のパフォーマンスで、彼は世界中にその強さを刻み込んだ。 G1競走6勝。そのすべてが、覚醒後のわずか1年半の間に積み上げられたものだ。

未来へ続く血脈

「まだ完成する前に引退させてしまう」 名伯楽・堀宣行調教師の言葉は、この馬の底知れなさを物語っている。 私たちは、モーリスの真の完成形を見ることなく、彼を見送ったのかもしれない。 しかし、その「未完成」の遺伝子は、次なる世代へと受け継がれていく。 スクリーンヒーローからモーリスへ、そしてその子供たちへ。 ロベルト系の爆発力とメジロの底力は、これからもターフを熱くさせ続けるだろう。

「彼は全てを持っていた。スピード、パワー、そして知性。まさにBeast(野獣)」
――R.ムーア

薄笑いを浮かべてターフを去った怪物、モーリス。 その圧倒的な強さと、愛すべきキャラクターは、 記録にも記憶にも残る「名馬」として、私たちの心の中で走り続けている。 アジアを制覇したその軌跡は、永遠に色褪せることはない。