Buena Vista

The Queen Buena Vista

「絶景」という名の通り、
彼女の走りは美しかった。

PROFILE

生誕2006.03.14
調教師松田博資 (栗東)
主戦騎手安藤勝己 / 岩田康誠
通算成績23戦9勝 [9-8-3-3]
主な勝鞍 ジャパンカップ (G1)
天皇賞・秋 (G1)
優駿牝馬 (G1)、桜花賞 (G1)
ヴィクトリアマイル (G1)

PEDIGREE

FATHER
スペシャルウィーク
(日本) 1995
サンデーサイレンス
キャンペーンガール
×
MOTHER
ビワハイジ
(日本) 1993
Caerleon
Aghsan

父は王道の天皇賞・JC覇者、母は早熟の天才少女。 日本競馬の結晶とも言える夢の配合から、父の豊かなスタミナと母の鋭敏なスピードを完璧に受け継いだ、長い直線をどこまでも伸びていく「絶景」の末脚が誕生した。

CAREER RECORD

全レース成績

TOTAL: 23 RUNS 9 - 8 - 3 - 3
DATERACE NAMECOURSE / DIST.JOCKEYRESULT
2011.12.25有馬記念 (G1)中山 / 芝2500m岩田康誠7th
2011.11.27ジャパンカップ (G1)東京 / 芝2400m岩田康誠1st
2011.10.30天皇賞・秋 (G1)東京 / 芝2000m岩田康誠4th
2011.06.26宝塚記念 (G1)阪神 / 芝2200m岩田康誠2nd
2011.05.15ヴィクトリアM (G1)東京 / 芝1600m岩田康誠2nd
2011.03.26ドバイWC (G1)メイダン / A2000mR.ムーア8th
2010.12.26有馬記念 (G1)中山 / 芝2500mC.スミヨン2nd
2010.11.28ジャパンカップ (G1)東京 / 芝2400mC.スミヨン2nd
2010.10.31天皇賞・秋 (G1)東京 / 芝2000mC.スミヨン1st
2010.06.27宝塚記念 (G1)阪神 / 芝2200m横山典弘2nd
2010.05.16ヴィクトリアM (G1)東京 / 芝1600m横山典弘1st
2010.03.27ドバイシーマC (G1)メイダン / 芝2410mO.ペリエ2nd
2010.02.20京都記念 (G2)京都 / 芝2200m横山典弘1st
2009.12.27有馬記念 (G1)中山 / 芝2500m横山典弘2nd
2009.11.15エリザベス女王杯 (G1)京都 / 芝2200m安藤勝己3rd
2009.10.18秋華賞 (G1)京都 / 芝2000m安藤勝己3rd
2009.08.23札幌記念 (G2)札幌 / 芝2000m安藤勝己2nd
2009.05.24優駿牝馬 (G1)東京 / 芝2400m安藤勝己1st
2009.04.12桜花賞 (G1)阪神 / 芝1600m安藤勝己1st
2009.03.07チューリップ賞 (G3)阪神 / 芝1600m安藤勝己1st
2008.12.14阪神JF (G1)阪神 / 芝1600m安藤勝己1st
2008.11.152歳未勝利京都 / 芝1600m安藤勝己1st
2008.10.262歳新馬京都 / 芝1800m安藤勝己3rd
CAREER HIGHLIGHTS

女王の証明

01
Ouka Sho
5-9
2009.04.12 / 阪神 1600m

THE ARRIVAL

第69回 桜花賞

単勝1.2倍。圧倒的な支持を受けた彼女は、大外から他馬が止まって見えるほどの末脚を繰り出した。 直線を向いてからの加速は、まさに「ディープインパクトの再来」。 名手・安藤勝己が49歳にして自身の記録を更新した、歴史的なクラシック制覇だった。

TIME
1:34.0
LAST 3F
32.9
02
Tenno Sho Autumn
2
2010.10.31 / 東京 2000m

THE QUEEN

第142回 天皇賞(秋)

古馬の強豪牡馬たちを相手に、彼女は一番強い競馬をした。 スミヨン騎手に導かれ、中団から堂々と抜け出すと、上がり33秒台の脚で完勝。 父スペシャルウィークと同じレースを制し、史上初の父娘制覇を達成した瞬間だった。

1着 ブエナビスタ 2着 ペルーサ
03
Japan Cup
1-2
2011.11.27 / 東京 2400m

THE REDEMPTION

第31回 ジャパンカップ

前年の降着という悪夢を乗り越え、再びこの舞台へ。 トーセンジョーダンをハナ差でねじ伏せた執念の勝利は、ジャパンカップ史上初の2年連続1位入線という快挙。 ゴール後、岩田康誠騎手の瞳から溢れた涙が、その重圧と喜びを物語っていた。

TIME
2:24.2
TITLE
G1 6勝目
DATA ANALYTICS

揺るぎない
絶対的信頼

ブエナビスタを語る上で欠かせないのが、ファンからの圧倒的な支持だ。 デビューから引退まで、出走したレースにおける19戦連続1番人気というJRA記録を樹立。 たとえ敗れても、降着の憂き目に遭っても、ファンは彼女の強さを信じ続けた。 テイエムオペラオーが持っていた記録を更新したこの数字は、彼女がいかに愛された名牝であったかの証左である。

19

JRA RECORD

連続1番人気記録

※デビューから引退まで継続

POPULARITY RECORD

不滅の支持率
PREVIOUS RECORD (T.M.OPERA O) 15 RACES
LEGEND
BUENA VISTA 19 RACES
NEW RECORD
RECORD EXTENSION +4 RACES
HISTORY
記録更新幅
BUENAVISTA
この馬にはいろいろ勉強させてもらった。
無事に走ってくれたのが一番です。
調教師 松田博資
引退式にて
人懐っこくてかわいい子。
でも、競馬に行くと強いんです。
担当厩務員 山口慶次
インタビューより
FAN VOICES

ファンからの声

Y

ジャパンカップのゴール後、岩田騎手が馬上で泣いているのを見て、私も涙が止まりませんでした。 昨年の降着の悔しさを晴らす、本当に素晴らしい勝利でした。ありがとうブエナ。

S

天皇賞秋、あの末脚は一生忘れません。 牡馬相手に堂々と外から差し切る姿は、まさに女王。 「女ディープ」と呼ばれる理由がわかりました。鳥肌が立ちました。

M

不登校だった娘が、テレビでブエナビスタが懸命に走る姿を見て勇気をもらい、 また学校に行けるようになりました。 娘は今、将来馬の世話をする仕事をしたいと夢見ています。

BEHIND THE SCENES

秘蔵エピソード

ターフの女王と呼ばれた彼女の、愛すべき素顔

01

青草が大好物

華やかな実績とは裏腹に、彼女の好物は素朴な「青草」だった。 担当の山口厩務員によると、普段はとても人懐っこく、厩舎では穏やかな時間を過ごしていたという。 レースで見せる鬼気迫る追い込みとは対照的に、馬房では「かわいい女の子」としてのんびり草を食む姿があった。

02

少女を救った走り

松田調教師が「最も感動した」と語るエピソードがある。 ある日厩舎に届いた一通の手紙。それは不登校の娘を持つ母親からのものだった。 牡馬に混じってひたむきに走るブエナビスタの姿に心を打たれ、娘が再び登校を始めたという。 一頭の馬の走りが、誰かの人生を変えた瞬間だった。

Apapane
THE ARCHRIVAL
DESTINY

APAPANE

アパパネ

一つ年下の三冠牝馬。ブエナビスタにとって、世代を超えた最強のライバルだった。

2011年、ヴィクトリアマイル。 現役最強の古馬女王ブエナビスタと、同世代を完全制圧したアパパネの初対決にファンは熱狂した。 直線、先に抜け出したアパパネを猛然と追い詰めるブエナビスタ。 しかし、クビ差だけ届かなかった。

互いに力を認め合い、牝馬の時代を築き上げた二頭の女王。 その激闘は、今もファンの心に深く刻まれている。

2011 ヴィクトリアマイル
2nd ブエナビスタ
vs
1st アパパネ

絶景を見た少女

絶景を見た少女

その馬名には「素晴らしい景色」「絶景」という意味が込められていた。 父スペシャルウィーク、母ビワハイジ。日本競馬の結晶のような血統を持って生まれた彼女は、その名の通り、私たちに数々の美しい景色を見せてくれた。 大外から全馬を撫で斬る豪快な末脚、牡馬をもねじ伏せる力強さ、そして時折見せる脆ささえも、彼女の物語を彩る重要な要素だった。

天才少女の光と影

デビューから彼女の才能は際立っていた。 阪神ジュベナイルフィリーズ、桜花賞、オークス。同世代の牝馬相手には力が違いすぎた。 特に桜花賞での、大外から一気に他馬を飲み込むレースぶりは、多くのファンに「ディープインパクトの再来」を予感させた。 しかし、順風満帆に見えたキャリアにも影が差す。 秋華賞での降着、エリザベス女王杯での敗戦。凱旋門賞への挑戦プランも白紙となり、天才少女は早くも「勝負の厳しさ」を知ることになる。

試練を越えて、真の女王へ

古馬となってからの彼女の戦いは、まさに茨の道だった。 2010年の天皇賞(秋)で鮮やかな勝利を飾るも、続くジャパンカップでは1位入線しながら進路妨害により2着降着。 有馬記念ではヴィクトワールピサにわずか2センチ差で敗れた。 「最強なのに、勝ちきれない」。そんなジレンマを抱えながらも、彼女は走り続けた。 19戦連続1番人気という記録は、ファンが彼女の不運を嘆きながらも、その実力を誰よりも信じていたことの証明である。

涙のジャパンカップ

そして迎えた2011年のジャパンカップ。 前年の悪夢を振り払うかのように、彼女は東京の直線を駆け抜けた。 トーセンジョーダンとの叩き合いをハナ差で制し、電光掲示板の頂点に「1」が灯った瞬間、鞍上の岩田康誠騎手は男泣きした。 それは、度重なる惜敗とプレッシャーから解放された安堵の涙であり、稀代の名牝への感謝の涙だった。 この勝利で、彼女はJRA史上最多となる総獲得賞金14億7000万円(当時)を記録。名実ともに日本競馬の頂点に立った。

「彼女の背中が、僕に勇気を教えてくれた」
――岩田康誠

通算23戦9勝。G1・6勝。 その数字以上に、ブエナビスタという馬はファンの心に残っている。 彼女がターフを去った日、中山競馬場には6万人のファンが詰めかけた。 ひたむきに走り、何度も挫折し、それでも最後は頂点に立った小さな女王。 彼女が駆け抜けた後に広がっていたのは、紛れもなく、私たちが見たかった「絶景」そのものだった。