額に輝くダイヤモンドの流星。セレクトセールで2億円を超える評価を受けたその馬は、生まれた時から「選ばれし存在」だった。 しかし、その馬生は決して順風満帆なエリートコースだけを歩んだわけではない。 栄光の頂点と、深淵のような挫折。その両方を知るからこそ、サトノダイヤモンドの輝きは人々の心を打ち続けている。
試練の春、そして約束の秋
「最強世代」と呼ばれた2013年生まれのサラブレッドたち。 その中心にいた彼は、春のクラシックで不運に見舞われた。 皐月賞での不利、そして日本ダービーでのまさかの落鉄。 あと数センチ、あと少しの運があれば——。関係者が、ファンが、悔しさを噛み締めた。 しかし、彼は折れなかった。秋、菊花賞で圧倒的な強さを見せて初のタイトルを掴むと、年末の有馬記念では古馬最強のキタサンブラックに挑戦状を叩きつける。 ゴール前、執念で王者をねじ伏せたその姿は、春の涙をすべて歓喜に変える、あまりにも劇的なフィナーレだった。
凱旋門の闇、復活の光
4歳、陣営は世界最高峰・凱旋門賞への挑戦を決断する。 しかし、フランスの重い馬場は、彼の軽やかなフットワークを奪い去った。15着という大敗。 それは単なる敗北以上に、彼の心身に深い影を落としたのかもしれない。 帰国後、かつての輝きを失ったかのようなレースが続く。「もう終わった」という声も聞こえた。 それでも、陣営は信じ続けた。ルメール騎手は信じ続けた。ダイヤモンドは砕けないと。
再び灯った輝き
2018年、京都大賞典。1年半もの間、勝利から遠ざかっていた彼が、再び先頭でゴール板を駆け抜けた。 全盛期のような爆発的な末脚ではなかったかもしれない。泥臭い、辛勝だったかもしれない。 だが、その1勝はどんなG1勝利よりも雄弁に、彼の「強さ」を物語っていた。 挫折を知り、底を見て、それでも這い上がってきた不屈の魂。 スタンドからの温かい拍手は、彼が記録に残る名馬である以上に、記憶に残る名馬であることを証明していた。
「本当のダイヤモンドが戻ってきた」
――C.ルメール
通算18戦8勝。有馬記念と菊花賞という二つのビッグタイトル。 しかし、私たちがサトノダイヤモンドという馬を語るとき、思い出すのは数字だけではないだろう。 悔し涙に暮れたダービーの夕暮れ、歓喜に沸いた中山の冬、そして復活を遂げた京都の秋。 その全ての瞬間において、彼の額の流星は、どんな逆境にあっても決して曇ることのない希望の光として、輝き続けていたのだ。



